「奨学金620万円」33歳彼が就活で見た貧富の連鎖 家が金持ちな人ほど経験を積み、いい会社に入る

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さて、そんなストイックな生活を続けた小原さん。無事に結果が伴い、25歳までに300万円を貯めることができた。そして、その種銭を元手に株式投資を始めた。

「奨学金の返済が年間50万円近くありましたが、一人暮らしでも1年間で100万円近くは貯められました。そこから、ソフトを用いたシステムトレードを始め、年間200万〜300万円の儲けが出るようになりました。

株式投資に興味を持ったのは大学生の頃。ギリギリの生活をしていたため、ずっとお金に飢えていて、『300万円を貯めたら、絶対に株をやろう』と決めて、学生時代からウォーレン・バフェットの本なんかを読んでいたんです。

でもバリュー株やグロース株の投資より、何かしらのエビデンスがあって機械的に投資をするスタイルが自分には合っていると判断。15万円のソフトを購入し、一定のルールで自動で売買するシステムを構築しました」

投資で資産はあったが、退職金で返済

こうして、奨学金を借りたことで投資に目覚めた小原さん。持ち前の貪欲さ、理系ならではのクレバーさが功を奏したようで、今では1500万円の含み益だという。

「ただ、そこまではトライ・アンド・エラーの連続でした。年間で50万円損した年もあれば、1日で100万円溶かしたことも。さすがにそのときは『本当にこの方法で間違いはないのか?』と不安になりました。失敗のたびにアップデートしていますが、そうしたところでいい方向に転がるのかわからないのが投資なので、今も模索中です。

ただ、サラリーマンをしながら年に1000万〜2000万円儲けるというビジョンは見えないので、安定的に200万〜300万円稼げればいいなと思い、今は全世界株や米国株など、スタンダードな投資にシフトしています」

こうして、30代でそれなりの資産を手に入れた小原さんだが、投資のきっかけとなった奨学金の返済はどうなったのだろうか?

「地元の奨学金は引っ越しを繰り返していた時期に、住所変更の手続きを怠ったせいで返済されないアクシデントがあり、それを機に全額一括返済しました。

第二種奨学金は、前の会社から今の会社に転職するときに出た退職金で全額返しました。その頃にはもう残り200万円になっていて、ちょうど同じぐらいの退職金が出たんです。

より細かく補足すると、僕のときは固定金利が1%ぐらい取られていて、毎月2万2000円返していたのですが、労働金庫で借り換えると金利が0.6%に下がったので、一旦、労金のローンに借り換えていて、退職金でそのローンを返済した……という感じです。

これがなければ、40代になるまで返し続けていたと思います。普段株をやっているので、一括返済でまとまった額が減るのはやはり抵抗はありましたが、退職金なら『まあ、いいや』となりました」

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