東大教授が解説「量子力学」が拓く人類の可能性 今年のノーベル物理学賞の受賞テーマに熱視線
さる10月4日に、量子力学の発展に貢献した米欧の3人の研究者がノーベル物理学賞を受賞、近年この「量子力学」の分野が注目を集めています。そこで東京大学の西成活裕教授に、物理に疎い人でもわかるよう、物質を分解した先のミクロの世界や量子力学について解説してもらいました(※本稿は『東大の先生! 文系の私に超わかりやすく物理を教えてください!』より一部抜粋・編集してお届けします)。
水滴は千兆個の十万倍以上の水分子でできている
今回は、物理の分野の中でも、「あらゆる物質を構成するもの」となる「原子」という分野についてサクッと説明しようと思います。原子というミクロの世界は物理の中では新しい分野ですけど、その問い自体は最も根源的で、深いと思うんです。
たとえば石ころが落ちています。それを一生懸命トンカチで叩いて細かく砕き、「これ以上小さくできない」と思えるくらいの粒にするとしますよね。普通の人は「ああ、砂か」で止まるのですが、物理学者の知的探究心はそこで止まりません。
「この小さな粒はいったい何でできているんだろう?」
「あらゆる物質の最小単位って何だろう?」
と本気で考える人たちがいたんです。
目に見えないから昔の科学者は“頭の中の”トンカチで分解していったのですが、想像で満足するわけがないですよね。「見たい」「知りたい」という欲求が高まっていくじゃないですか。その欲求が電子顕微鏡などを生み出し、それによって物質を構成する極小世界を人間がついに捉えます。神様もびっくりのすごい執念です。
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