東大教授が解説「量子力学」が拓く人類の可能性 今年のノーベル物理学賞の受賞テーマに熱視線

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中性子は結構気まぐれなやつです。水素に中性子はないのですが、ヘリウムは中性子が2個ある。ヘリウム原子を拡大してみると、中心に陽子と中性子が2個ずつあって、その周りを2個の電子がくるくる回っているんです。
それで、陽子と中性子を含めて、原子の中心部を原子核と呼ぶようになります。

『東大の先生! 文系の私に超わかりやすく物理を教えてください!』P.49より

実は、人類はさらに分解できたんです。科学者の執念ってすごい。電子はまだこれ以上分解できていないのですが、陽子と中性子って電子と比べるとかなり大きく、実はその中身はそれぞれ3つの粒で成り立っていることがわかったんです。その粒をクォーク(quark)、「素粒子」とも言います。

クォークにはアップクォークとダウンクォークという2種類あって、陽子はアップ2つとダウンが1つ、中性子はアップ1つとダウンが2つでできていることがわかりました。

これが今のところ物理の最先端。

とりあえず今回の結論として知っていただきたいことは、大雑把に言えば、あらゆる物質を分解して行き着くのは、電子とクォークであるということです。

正確に言えばさらにノーベル賞をとった小柴昌俊先生が発見したニュートリノなどもありますが、ここから先は細かくなるので、以上で十分すぎると思います。

ここまでお話しした原子やさらに小さな電子、中性子、陽子、クォークなど「物質の最小単位」をまとめて「量子」と言いますが、最後に「量子力学」の「力学」の部分について少しだけ補足しようと思います。

先ほど原子の説明で、原子核(陽子と中性子から成るもの)の周りを電子が回っていると図解しましたよね。地球の周りを月がくるくる回っているイメージです。教科書にもそう書いていますが、実は嘘。図で説明しろと言われたらあのような感じでしかできないんです。

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