東大教授が解説「量子力学」が拓く人類の可能性 今年のノーベル物理学賞の受賞テーマに熱視線

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ちなみにH2Oなどと聞くと化学のイメージを持つ方もいるかと思いますが、化学は「原子の組み合わせで分子をつくること」に特化した学問で、物理からスピンアウトしたと考えてもらって構いません。

化学のルーツは物理だというと化学の先生に怒られるかもしれませんが、あらゆる学問はかつて哲学だったのと一緒で、自然科学のルーツは物理にあると私は思っています。

原子よりもさらに小さな物質の発見

では、物質の最小単位は原子かと思いきや、これが違ったんです。先輩科学者たちはさらに「じゃあ原子って何でできているの?」としつこく考えました。たとえば水素原子をよくよく調べると、原子の中心にプラスの電気を帯びた粒が1個あって、その周りをマイナスの電気を帯びた粒子が1個、回っていたんです。

この中心にあるプラスの粒を陽子(proton)と呼び、外周のマイナスの粒を電子(electron)と呼びます。

ここで人類は衝撃的なことを知ります。私たちの身の回りには色々な物質があり、それを構成する色々な原子があるのですが、すべての原子は陽子と電子の数が違うだけだったんです。

水素原子は陽子と電子が1個ずつ、酸素原子は陽子と電子が8個ずつ。ちなみに陽子と電子の数は一致するのはプラマイゼロで安定するからです。もし過不足が起きると原子として電気を帯びて、何かとくっついてしまうんですよ。この状態をイオンと言います。

鉄だろうと人間の皮膚だろうと水だろうと、この世に存在するものはすべて分解していけば陽子と電子で成り立っていることがわかったんですね。
すべての元素には原子番号がついていますが、あれは陽子の数なんです。水素が1番なのは陽子が1個だから。次のヘリウムは2個。元素番号6番の炭素は、陽子と電子を6個ずつ持っています。軽い順に並んでいるんですね。

でも、ここで終わらなかったんです。さらに詳しく調べていくと、原子の中心部には陽子以外に「中性子」という電気を持たないニュートラルな粒が存在するケースもあることがわかります。

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