アメリカでは、就職先企業は名門校と言われるハーバードやスタンフォードのような「学歴」だけで評価していません。在学中にどれだけ実務を身につけたか、あるいはインターン先で高い評価を得られれば大学自体のレベルは問われないものです。ちなみに就職にあたっては、大学在学中の成績も提出しなければならないので、一流校を出ていても落第スレスレ、というのではかえってマイナスになることもあります。
では、それでも名門校を目指す理由はなんなのでしょうか。1つにはやはり人的なネットワーク作りが大きいように思います。インターン以外に、指導教授から推薦を受けて就職するケースも多くあります。いい学校の教授であれば、学生に人気の企業への推薦先もたくさん知っている可能性がありますので、狭き門を通るうえで有利なのは間違いありません。
また、名門校なら在学中に同級生や先輩後輩だった知人が将来産業界で活躍する可能性がやはり高いため、本人の将来にとって大きな財産となります。この点が名門校に行く理由なのではないかと私は思います。
日本の生産性の低さが気になる
というわけで、大学生の就職事情についてみてみましたが、お国柄の違いといってしまえばそれまでですが、1つ気になっていることがあります。それは日本の生産性がOECD諸国の中で38カ国中23位(2020年)と低いことです。
ここに書いたアメリカの例をみても、就職活動を終えた新入社員は海外では即戦力、それも優秀な戦力として期待通りの活躍をしてくれます。一方で日本ではポテンシャルの高い人材は確保したものの、そこから一人前に育てるだけの期間がどうしても必要になります。
大学を4年で卒業して、新入社員でさらに1〜2年教育期間にかかるとすると、25歳くらいでようやく戦力になる計算です。浪人したり、大学院に行っていれば、27歳くらいになるまで見習いのような状態が続きます。少子高齢化と言われる日本社会で、元気な20代の若者がこれでよいのか、少し社会全体で考えてみてもいいのではないかと思います。
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