「女性の薄毛は、もともと毛が細い方が加齢とともにさらに細くなってよれてきたり、抜け毛が増えてきたり、という年齢的な体質変化がほとんど。とくに更年期前後から髪の変化が気になる方が増えます。閉経後は前髪が伸びにくくなることも多く、患者さんのなかには1年間、前髪を切っていないという人もいます」(植木医師)
閉経後は女性ホルモンが急激に減るが、女性ホルモンが髪にどう影響しているのかは、実はまだよくわかっていない。ただ、前髪に深く影響している可能性はいくつかの実験データなどから出てきているという。
女性の薄毛のなかに、まれに全身の病気が隠れているケースがあるので、注意が必要だ。
「ホルモンによる病気や膠原病、橋本病やバセドウ病といった甲状腺の病気、子宮筋腫、卵巣の病気などでも薄毛になることがあります。10~20代の女性では、貧血や急激なダイエット、拒食症などによる栄養障害を原因とした薄毛も多いです」(植木医師)
女性でAGAタイプの薄毛症状が見られる場合、卵巣の病気の可能性があるという。女性でも男性ホルモンは分泌されていて、卵巣で作られているが、卵巣の病気で異常に産生されると、薄毛になるという。月経不順がある10~20代の女性で、急に頭部の生え際や頭頂部だけが薄くなってきたときには注意が必要だ。
「男性ホルモンの分泌が増えると、女性もニキビがひどくなったり、体毛が濃くなったりなどの症状も出てくることがあります。薄毛で受診して来た女性には、病気が隠れていないかどうかを、念のため疑いながら診断をつけるようにしています」(植木医師)
洗髪後はしっかり頭皮を乾かす
日ごろの何気ない習慣のなかにも薄毛の原因が隠れていることがある。薄毛の原因になりやすいヘアスタイルやヘアケアはあるのだろうか。
「長時間、ポニーテールなどの結び髪をしたり、いつも同じ場所で髪をピンやバレッタでとめたりしている人は要注意です。その部分の頭皮を強く引っ張り続けることになるため、頭皮の血管が細くなって血流が悪くなり脱毛しやすくなる。髪を結ぶ場合は、結び方や位置をなるべく変える。いつも同じところをピンやバレッタでとめない。とめる位置をできれば数時間おきに変えるといいですね」(植木医師)
洗髪時の注意点などもあるのだろうか。
「髪や地肌が摩擦で痛まないように、シャンプーはよく泡立てて洗ってください。そして、自分の肌に合ったシャンプーやコンディショナー、トリートメント、リンスを使うこと。脂性肌なのに洗浄力の弱いシャンプーを使って皮膚炎を起こすケースや、皮脂で髪が抜けてしまうと思い込んで洗いすぎ、髪や地肌が乾燥して脱毛するケースも。洗いすぎは禁物です」(植木医師)
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