【円形脱毛症】ストレスや心の弱さ原因ではない 偏見や誤解が多い病、2022年6月に治療薬が登場

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誤解と偏見が多い円形脱毛症。正しく理解するためのヒントをお届けします(写真:zon/PIXTA)
「円形脱毛症」と聞いて、「ストレスによって頭髪に10円玉ぐらいの脱毛が起こる病気」とイメージするだろうか。実際には、これは円形脱毛症のもっとも軽い病態で、重症だと全身の毛がすべて抜けてしまう病気でもある。原因も“ストレスではない”ことのほうが多い。
円形脱毛症は誤解や偏見の多い病気だ。その症状や原因、その治療や病気と向き合う当事者の思いなどについて、皮膚科医の植木理恵医師(順天堂東京江東高齢者医療センター)に聞いた。

円形脱毛症には軽症から重症までいくつかのタイプがある。頭髪に10円玉ぐらいの脱毛がいくつかできるタイプはいわゆる軽症だ。また、その発症の原因も「いわゆるストレスはきっかけの1つにすぎず、全体の30%程度」と植木医師は話す。

円形脱毛症はそのイメージから、「あの人はストレスに弱い人だ」などの意味のないレッテルも貼られてしまいやすい。実際には、ストレスに関係なく、ある日突然、前触れもなく誰もが発症する可能性のある病気だ。

「円形脱毛症はさまざまなことがきっかけとなって、毛を作る組織に対する免疫反応による炎症が生じる、自己免疫性疾患の1つと考えられています」(植木医師)

発症の原因は自己免疫の暴走

自己免疫性疾患とは、体から異物を排除するための役割を持つ免疫系が、自分自身の正常な細胞や組織に対してまで過剰に反応し、攻撃を加えてしまうことで起こる病気だ。円形脱毛症では、髪の毛を作り出す「毛包」と呼ばれる毛の根元が、自身の免疫システムから攻撃を受けることによって発症すると考えられている。

「円形脱毛症は誰にでも起こりうるのですが、アレルギー体質の方に若干多い傾向はあります。スギ花粉症やアトピー性皮膚炎のある方はなりやすい。花粉症ならとくに2~3月頃の流行時期、アレルギー症状が一番ひどくなった後に出やすい傾向です」(植木医師)

風邪などのウイルス感染後や、睡眠不足による自律神経失調症などでも円形脱毛症を発症することがあるという。

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