【円形脱毛症】ストレスや心の弱さ原因ではない 偏見や誤解が多い病、2022年6月に治療薬が登場

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円形脱毛症は重症の場合、頭髪だけでなく、まつげ、鼻毛などの体毛まで、全身の毛が全部抜けてしまうことがある。

「身近に当事者がいないかぎり、円形脱毛症のこうした病態はあまり知られていないかもしれません。まだまだ世間の認知度が低く、非常に誤解が多い病気といえます」(植木医師)

5つのタイプに分けられる

主に5種類のタイプに分けられ、症状が軽い順に「単発型」「多発型」「蛇行型」「全頭型」「汎発(はんぱつ)型」がある。

「単発型」は患者数がもっとも多く、頭髪に10円玉ぐらいの円形または楕円形の脱毛ができる。脱毛箇所が2つ以上発生するのが「多発型」だ。「蛇行型」は後頭部から側頭部の生え際にそって蛇のように脱毛が広がる。これらのタイプは散髪のときに指摘されて初めて気づく人も多い。

「全頭型」と「汎発型」は髪がすべて抜けてしまう重症度の高いタイプだ。「汎発型」では頭髪だけでなく、眉毛、まつ毛、体毛など全身すべての毛が1カ月足らずで抜け落ちてしまう。

「洗髪時などに、頭皮から髪が抵抗なくごっそり抜け落ちる経験はかなり衝撃的だといいます。そのときの状況を『風呂場の排水溝が抜け落ちた大量の髪の毛で真っ黒になっていて、頭にはあるべき髪がなく、すごい恐怖を感じた』と話す患者さんもいます」(植木医師)

脱毛は突然で、とくに予兆はないとされるが、人によっては抜ける前に頭皮がピリピリしたり、かゆみが出たり、引っ張られるような痛みを感じたりする人もいるという。

治療はどのように行われるのだろうか。

「単発型は自然治癒することも多いので、発症後3カ月は様子を見ます。多発型や蛇行型などで脱毛箇所がいくつもある場合は、ステロイドの塗り薬を使います。比較的重症であれば、ステロイド内服薬も有効です。全頭型や汎発型などの最重症型の場合、発症して3カ月から半年以内であれば、大量のステロイドを3日間点滴投与するステロイドパルス療法などがあります」(植木医師)

発症から1~2年、脱毛したまま変化が見られない場合には、人工的にかぶれを起こす薬剤を塗って発毛を促す局所免疫療法や、紫外線を当てる紫外線療法などもある。いずれも完治が期待できる治療というわけではない。重症度の高い円形脱毛症は、とくに治療が効いて発毛してきたと思ってもまた脱毛してしまうなど、一進一退を繰り返すことも多い。

「円形脱毛症は再発しやすく、再発率は約7割です。初発は全頭型でも再発では多発型、またはその逆など、再発では重症度の違うタイプになることも多いです」(植木医師)

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