コロナで変わる企業、変わらない企業、紙一重の差 まだ同じやり方を続けていると直面する危機

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「固定化している」と言われてきた日本の企業も……(写真:takeuchi masato/PIXTA)
新型コロナウイルス感染症のパンデミックがもたらしたのは、仕事をする環境の変化だ。1人ひとりが自宅でデジタルツールを駆使したリモートワークをするのが日常茶飯事になって、オフィスに社員が集まって仕事をするのはもはや過去の話になった。
また、パンデミックにより、通勤時間や「仕事モード」の状態が長すぎるといったこれまでの弊害を一掃するきっかけにもなった。
全米でベストセラーとなった『ライフ・シフト』著者のリンダ・グラットン氏は、アフター・コロナにおいては、社員の精神的な健康にまで踏み込んだ働き方を推進すべきだと、『リデザイン・ワーク 新しい働き方』において提唱する。

「パンデミック」は経営を変えるきっかけ

会議が多すぎる。通勤時間が長すぎる。家族と過ごす時間が少なすぎる。常に業務に対応できる「オン」の状態であることを求める重圧が強すぎる……。

『リデザイン・ワーク 新しい働き方』(書影をクリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします。紙版はこちら、電子版はこちら。楽天サイトの紙版はこちら、電子版はこちら

私たちの働き方に問題があることは、以前から明らかだった。こうした問題を解決したいと、私たちはずっと言い続けてきた。人々の精神の健康がむしばまれたり、気候変動に拍車がかかったりしている現実は、これまでの働き方の問題点を浮き彫りにしている。

しかし、既存の働き方は深く根を張っていて、簡単には変わらなかった。そこへ訪れたのが、新型コロナウイルス感染症のパンデミック(世界的大流行)だった。2020年春を境に、すべてが一変した。

社会全体がパンデミックを経験したことにより、私たちが仕事と職業生活に何を望むのかを考え直す千載一遇の好機が訪れた。コロナ禍は、ものごとの根本的な前提の多くを問い直し、新しい行動パターンを採用し、どのように仕事を行うかについて新しい物語を紡ぎ出すきっかけになった。

私は2015年以降、ロンドン・ビジネス・スクールでMBAプログラムの選択科目として「働き方の未来」と銘打ったコースを開講している。受講した学生はすでに何千人にも上る。この講座の受講生たちの意見を聞くことにより、私は自分の思考を修正できている。2020年3月以降は日記をつけて、コロナ禍で見聞きしたことを記してきた(その日記はすでにノートで20冊に達している)。これらの活動から得られた知見によれば、「今ほど変化への一歩を踏み出すのに適した時期はない」と、私は強く感じている。

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