コロナで変わる企業、変わらない企業、紙一重の差 まだ同じやり方を続けていると直面する危機

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われわれが経験しているのは、過去1世紀で最大の変化であると言っても過言ではない。しかも、この変化はずっと以前から訪れていたのである。自動化の進展にともない、さまざまな産業の様相と雇用のあり方が変わりはじめている。長寿化により、親の世代より長く生き、70代まで働くことが当たり前になる可能性も出てきた。

組織のあり方は「凍結」から「解凍」へ

私たちは、デジタルテクノロジーを活用して仕事をすることに自信を深め、その状況に大きな解放感をいだくようになり、新しい行動パターンへと移行し始めている。そして、日々、以前どのような働き方をしていたかを思い出せなくなっている。私たちは変わりつつあり、働き方も変わりつつあるのだ。

コロナ禍が引き起こした大激変について理解するためには、変革のプロセスに関する心理学者クルト・レヴィンの「凍結(フリーズ)・解凍(アンフリーズ)」モデルが参考になる。

レヴィンのモデルによれば、平常時の組織は「凍結」状態にあるとされる。組織の文化、構造(指揮命令系統など)、慣行(給料の金額など)、プロセス(採用活動の進め方など)は安定している。しかし、組織が外部からの脅威にさらされると、この状態が変わり始める場合がある。

外的な脅威として、たとえば、新しい競争相手が市場に参入する、顧客が製品やサービスに満足しなくなる、優秀な社員の退職が相次ぐなど、さまざまなパターンがありうる。こうした脅威に直面すると、その会社は「凍結」状態から「解凍」状態へ移行する。

組織構造が流動化し、幹部たちは古い前提に疑問を投げかけ、新しいやり方を試みはじめる。組織が変化を遂げ始めるのだ。やがて脅威が遠のくと、その会社は「再凍結(リフリーズ)」の状態に移行する。イノベーションと変革ではなく、停滞と安定の時代が再び訪れる。

コロナ前からすでにテクノロジー・人口動態・社会の変化を受けて「解凍」し始めていた企業もあった。自動化が進展すれば、社員が素早くスキルを磨き直したり(=アップスキリング)、ときには新しい職種で働くために新しいスキルを学んだりする(=リスキリング)必要性が高まり、学びがきわめて重要になるだろう。

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