コロナで変わる企業、変わらない企業、紙一重の差 まだ同じやり方を続けていると直面する危機

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人々がきわめて長い職業人生を送る可能性が高まるのにともない、「フルタイムの教育→フルタイムの仕事→フルタイムの引退」という昔ながらの3ステージの人生が時代遅れになりつつある。それに代わり、マルチステージの人生を生きることが当たり前になれば、社員は柔軟に会社に加わったり会社を辞めたり、副業を始めたり、再び学生に戻ったり、世界を旅したりできることを重んじるようになるだろう。

世界中で行われた壮大な働き方の実験

家族の構造が変容する中で、企業は多様な家族のあり方を受け入れ、あらゆる人にとって魅力的な職場をつくる必要性が高まる。いち早く「解凍」を始めた企業のリーダーたちは、職務構成や給与決定方法などのあり方を「解凍」し、柔軟性をつくり出そうとし始めた。その変革の道筋を表現したのが、次の図だ。

(出所:リンダ・グラットン『リデザイン・ワーク 新しい働き方』)

(外部配信先では図や画像を全部閲覧できない場合があります。その際は東洋経済オンライン内でお読みください)

図の左下から出発して、上への移行を進めることにより、場所の柔軟性を高めた企業もあった。つまり、一部のタイプの働き手に関して、勤務時間はそれまでどおりで、在宅勤務やリモートワーク、シェアードオフィスでの勤務を試験的に導入したのだ。早くも1980年代前半には、イギリスの通信大手ブリティッシュ・テレコム(現在の社名はBT)がコールセンターのスタッフに在宅勤務を導入している。

一方、図の左下から右へ移動して、時間の柔軟性を高めた企業もある。たとえば、圧縮労働時間制度(訳注:1日当たりの労働時間を増やすことにより、週当たりの総労働時間を減らさずに勤務日数を減らす)を試験的に採用したり、パートタイム労働を導入したり、午前中に1時間休みを取る代わりに午後に1時間多く働くことを認めたり、ひとつの職を2人で共有するジョブ・シェアリングを可能にしたりといった具合だ。

2020年春、新型コロナウイルスの感染拡大により、過去には想像もできなかった規模とスピードで世界的な「解凍」のプロセスが始まった。世界の多くの国でロックダウン(都市封鎖)や行動制限が導入された結果、膨大な数の人たちがリモートワークに移行した。子どもや高齢の家族、コミュニティの人々の世話をするために、勤務時間を減らした人も多い。

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