コロナ禍でも焼肉や寿司、ファストフードは、比較的堅調な企業が多かった。だが、「牛角」や「かっぱ寿司」「フレッシュネスバーガー」を傘下に持つコロワイドはむしろ苦戦。2023年3月期4〜6月期の売上高は512億8200万円と前期比30.4%増加したものの、事業利益は1億5700万円と86.1%縮小と、今期予想に対する進捗は芳しくない。
カッパ・クリエイト自体も2022年3月期決算で売上高は672億600万円だったものの、営業損益が21億1300万円と前年前期(15億7200万円)から赤字額が膨らんだ。
つまり、コロワイドはコロナ禍で好調なジャンルの業態をうまくいかせていないのだ。特にかっぱ寿司に関しては、立て続けの社長交代が象徴するように、ブランド価値を上げるような明確な施策はなかっただろう。
実際、ここ数年、かっぱ寿司が行った施策といえば、1皿50円や食べ放題など、価格に訴求したものが多い。あくまでも推測だが、ブランド価値の向上よりも、目先の売り上だけを重視していたのではないだろうか。もしそうだったら、今回はま寿司から持ち出したデータが、食材の使用量や原価、扱った食材の取引先や価格だったことも納得がいく。
顧客体験向上に力を注ぐライバル
一方で、回転ずし業界は価格ではなく、顧客体験価値の向上に力を注ぐ戦略が目立つ。分かりやすい例が、くら寿司の「ビッくらポン!」だ。「鬼滅の刃」や「ワンピース」などの人気アニメともコラボレーションし、集客装置として大きな存在感を放つ。
また、スシローはDXの推進で他を圧倒している。セルフレジを全店に導入するとともに、自動土産ロッカーや自動案内システム、画像認識による自動会計システムなどを導入し、お客がストレスなく店舗をつかえる環境づくりを進めている。
回転ずしのファミレス化と顧客体験価値の創造という2つの競争で、後塵を拝したかっぱ寿司。今後、上位との差は広がっていく可能性が大きい。その要因が100円寿司というビジネスモデルの限界にある。
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