日本の男女格差はどの程度か?
少し引いた視点からみて、統計データなども参照して、そもそも日本の男女格差はどの程度のものなのかを見てみよう。そこから、日本の男性たちが置かれた状況を考えてみたい。
世界経済フォーラムによる「ジェンダーギャップ指数報告書」(2021年版)によると、日本は世界156か国中120位。内閣府男女共同参画局の広報誌『共同参画』2021年5月号にも書かれているように、これは「先進国の中で最低レベル、アジア諸国の中で韓国や中国、ASEAN諸国より低い結果」である。
また同報告書ではジェンダー格差指数を「経済」「政治」「教育」「健康」という4つの分野に分けて示しているが、ざっくり確認すると、日本は女性の政治参加(国会議員の男女比、閣僚の男女比など)が156か国中147位で非常に悪い。女性の公平な経済参加の機会もかなり低い値であり、順位は156か国中117位である。
教育分野は92位である。これも高いとは言えない。数値を見ると、日本の女性は初等教育の在学率、識字率は1位である。しかし高等教育の在学率は110位と、それに比べて(全体の平均値を上回っているものの)低い数値になる。ちなみに、先進国には「女性の方が大学進学率が低い」という国はほとんどなく、二年制の短大が多いことも日本に特有の問題のようだ。
総じて日本は、健康面や義務教育の男女平等という面では優れている。しかし女性の政治参加、雇用機会や労働環境の面では非常に大きなギャップがあり、また高等教育(大学など)についても差別がある。そうした評価になりそうだ。
たとえば「女性の社会進出が進んだ」と漠然と考えられているかもしれないが、言うまでもなく女性の就職先は非正規雇用が多く、依然として女性の非正規比率は男性の2倍以上である(男性の賃金は平均して女性の約1.5倍。管理職ポストの9割は男性。国会議員の9割前後が男性、など)。
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