何者にもなれない「中年おじさん」が苦しむ呪縛 「男らしさ」から逃れ"そこそこ"の人生を生きる

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「弱さ」を抱えた男性はどのように生きればいいのか(写真:studio-sonic/PIXTA)
エリート会社員や起業家など華々しい男性にスポットライトが当たる一方で、特別な才能がなくお金持ちでもない中高年男性にとって、参考になる生き方のモデルは多くない。「弱さ」を抱えた男性の生き方を論じた杉田俊介氏の著書『男がつらい! - 資本主義社会の「弱者男性」論』から一部抜粋してお届けしします。

男性たちも依存先を拡げていこう

世の中高年男性たちは、職場と家族以外での人間関係を作るのが苦手で、地元や地域コミュニティなどにネットワークを持たない人も多い。経済的・精神的な困難に直面しても、助けてもらえる先が乏しかったり、そもそも誰かに助けてもらえると想定していなかったりする。

さらに男性は弱音を吐いてはいけないと思い込み、自身の弱さを認められず、他人や公的機関に助けを求められないまま、孤独をこじらせていく。こうした形での日本の中高年男性たちの孤独に対し、はたしてどんな実践的な処方箋が考えられるだろうか。

「男性も職場と家庭以外の帰属場所を持とう」という話になるが、そうするといまだに男性たちは、「早期退職し地方に移住して自給自足」とか「脱サラしてラーメン店を開業」とか「そば打ち」とか、極端でストイックなイメージに捉われやすいように思われる。

もちろんそれらの選択肢が悪いわけではない。しかし、そこにはイメージの貧しさがあり、偏りがあるのではないか。もう少し多様な選択肢があっていいし、ゆるやかなライフスタイルの変革があっていいだろう。

たとえば、身体に障害をもつ小児科医の熊谷晋一郎は、「自立とは依存先を増やすことである」と述べている。

だとするなら、月並みな意見だが、常日頃から仕事・家族以外にも複数の「依存先」を作り、ポジティブな意味でのタコ足配線を増やしていくことが必要になってくるのではないか。そうすることができたら、男性たちも、たとえ完全な形では人生の孤独を消しされなくても、孤独を徐々に緩和し、分散していくことができるのではないか。

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