あわせて、内閣府男女共同参画局『男女共同参画白書』(2014年版)の「特集 変わりゆく男性の仕事と暮らし」も注目された。この特集では、2001年の発行以来、初めて男性問題が取り上げられることになった。
その中で、「現在幸せである」と感じている男女を就業状態別に見ると、(「正規雇用者」以外の)すべてにおいて女性が男性を上回っている。
男女とも、最も幸福度が高いのは「学生」であり、最も低いのは「失業者」だ。「学生」の次に幸福度が高いのは、男性は「自営業主・家族従業者」「正規雇用者」「退職者」の順になる。一方、女性は「退職者」「主婦」「自営業主・家族従業者」の順である。
「非正規雇用者」の幸福度は、男女ともに平均を下回る。ただし女性の場合──これが大きなポイントなのだが──、「正規雇用者」も「非正規雇用者」とほぼ同水準の低さになっている。
仕事に左右される日本人の幸福度
まとめると、男性は全体として幸せと感じている割合が女性より低い。ただし正規雇用者に限れば女性よりも男性のほうが幸せと感じている割合が高くなる。
女性は、主婦や退職者(あるいは自営業主・家族従事者)などの場合、幸せと感じる割合が高い。しかしくりかえすが、特徴的なのは、正規雇用で働いている女性の幸福度が著しく低いことだ。これは男性の場合に正規雇用者の幸福度が上がるのと完全に対照的である。
女性正規雇用者の幸福度が低いというのは、日本の雇用環境が女性にとっていかに働きにくいか、幸福からほど遠いかを示すものだろう。また日本人の幸福度が、きわめて強く仕事(正規雇用)に左右されることも示している。
逆にいうと、退職したり、正規雇用の座から滑り落ちると、男性たちは不幸になるリスクが高い、ということだ。素朴で当たり前なようだが、あらためてなぜそれが「素朴」で「当たり前」に感じられてしまうのかを、きちんと見つめ直しておく必要がある。
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