窮地のかっぱ寿司、100円回転寿司チェーンの過酷 首位のスシローと「100円皿」戦略にも違い

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ただ、近年の回転寿司市場の拡大は、外食における相対的なコストパフォーマンスの優位性を示すものであり、「100円」という絶対額とは直接関係がない。

回転寿司大手の熾烈な競争が、これまで以上のコスパを実現する方向に向かうなら、物価上昇時代にも残った外食需要を取り込んで十分に存在感を保てるはずだ。

回転寿司の「体験」価値こそコスパの源泉

外食のコスパを構成する「パフォーマンス」とは大まかに言えば、「食」と「体験」の提供の組み合わせだ。「食」価値の割合が高いファストフードもあれば、「体験」価値の比重が高いディナーレストランや居酒屋もある。業態によって価値訴求における食と体験の比重はさまざまだ。

「食」としてのニーズは内食・中食でも満たせるが、飲食店という空間だからこそ生み出される「体験」こそ、外食ならではの価値だと言える。回転寿司大手が消費者に支持されたのは、ファミレスに飽きたファミリー層に新しい「体験」を提供したからだ。

多様な寿司をレーンで回しながら食欲をそそり、豊富なサイドメニューが充実、5皿食べるとクジが引けたり、アニメとのコラボメニューなど、子どもたちを飽きさせない仕掛けは、まさに新しい「体験」の創出だ。

コロナ禍がわれわれから奪ったのは、こうした体験であり、行動制約がなくなる今後は「リベンジ消費」が起こる。家族や仲間との楽しい時間を過ごす場所としての地位を確立した回転寿司が、この体験をブラッシュアップし続けられるか。そこを見失わない限り、節約を余儀なくされる消費者からも選択される存在として生き残っていけるはずだ。

中井 彰人 流通アナリスト

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なかい あきひと / Akihito Nakai

みずほ銀行産業調査部で小売・流通アナリストに12年間従事。2016年同行を退職後、中小企業診断士として独立、開業。同時に、慶應藤沢イノベーションビレッジでベンチャー支援活動を開始、近年は地方創生支援活動も実施中。並行して、流通関連での執筆活動を本格化し、TV出演、新聞、雑誌などへの寄稿、講演活動などを実施中。2020年よりYahoo!ニュース公式コメンテーター、2022年Yahoo!ニュースオーサーを兼務。主な著書「図解即戦力 小売業界」(技術評論社)。現在、東洋経済オンライン、ダイヤモンドDCSオンライン、ITmediaビジネスオンライン、ビジネス+ITなどで執筆、連載中。

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