日本人が知らない「政治と宗教」根深い心理問題 「敵認定」で排除すればコントロール不能になる

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会話の内容に困る女性
センシティブな話題、どう話せばいいのか(写真:takeuchi masato/PIXTA)
宗教的価値観の対立が分断を引き起こしているアメリカ。無宗教を標榜する人が多い日本人にとっては、理解しがたいことかもしれない。
よく「初対面で政治と宗教の話をしてはいけない」と言われるが、それはコミュニケーションにおいて心理的な対立のもとになるからである。全米で話題になった『マッピング思考』の著者ジュリア・ガレフも、異なる宗教を信仰する人との対話に苦慮した1人。彼女は、相手と対立や敵対することなく、共存するアプローチを勧める。

宗教の信者は、集団への忠誠心が強い

どんな社会集団にも「気候変動は深刻な問題である」「民主党よりも共和党のほうが優れている」「子どもはかけがえのない存在である」など、無意識のうちに期待されている考えや価値観がある。

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宗教集団には、「私たちの集団は価値のある目的のために戦っている」という考えや価値観があるのかもしれない。

これらに異を唱えれば、他のメンバーから距離を置かれてしまうかもしれないし、集団から追い出されることさえあるかもしれない。宗教集団によっては、信者は信仰を捨てると、配偶者や家族、社会的支援を失うこともある。

集団への忠誠心を示すために、自分たちの名誉を脅かすような意見を拒絶するのも、よくある思考パターンだ。カトリック教徒であるという認識が強い人(「カトリック教徒に連帯感を覚える」といった意見を支持する人)は、カトリックの神父が性的虐待で告発されるといったニュースに対して懐疑的になりやすい。

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