期待したのは、戦中・戦後における沖縄とアメリカの、悲劇的かつデリケートな関係の描写だ。確かに、主人公の母親役=仲間由紀恵が戦争体験を切々と語る場面もあったが、例えば『エール』(2020年)における、空襲の焼跡を舞台とした薬師丸ひろ子の賛美歌の絶唱と比べると、さすがにリアリティと深みに欠けたと言わざるをえない。
『ふたりのウルトラマン』(5月2日/BSプレミアム)、『クローズアップ現代 VR時空旅行→沖縄1972』(5月11日/総合)、『OKINAWA ジャーニー・オブ・ソウル』(5月22日/総合)など、沖縄の「本土復帰」50周年となる今年、NHKは、沖縄が背負った歴史的事実をしっかりと語る、意欲的な作品を多く手掛けた。
それだけに、NHKによる沖縄史掘り起こしムーブメントの象徴というべき『ちむどんどん』には、歴史的事実を真っ正面から捉える展開を期待したのだが……それでも最終週はこれから。「まさかやー」な展開があることを諦めないでおこうと思う(あと、主人公の姉夫婦が、教師として沖縄の歴史をどう教えたかを描くスピンオフドラマが見たい)。
『ちむどんどん』最終回は…
先に『あなたのブツが、ここに』の主題歌として、ブルーハーツ『TRAIN-TRAIN』が似合うと書いたが、『ちむどんどん』に期待していたのは、沖縄出身の3人組バンド=MONGOL800『琉球愛歌』が似合うドラマだった。
7月16日のTBS『音楽の日2022』、トリで出てきた彼らは、「♪忘れるな琉球の心 武力使わず 自然を愛する」という歌詞の『琉球愛歌』を堂々と歌った。
歌の上手な設定の歌子(上白石萌歌)が、最終回にこの曲を歌ってくれたならば、そんな「まさかやー」な展開があるとすれば、私は個人的評価を『エール』並みに上げてもいいと思っている。
最後に『あなたのブツが、ここに』に戻すと、22日放送分で、主人公の上司である宅配ドライバー(津田健次郎)が放った「何がエッセンシャルワーカーや。雑に扱いやがって」というセリフは最高だった。「令和のブルーハーツ」の歌詞にしてほしいくらい。
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