バーンズ:最も重要なのは、たとえ遠回りに思えても、政府と共通の目標を定めることです。つまり政府と共通の利益を作り込み、歩調を合わせることが重要です。ルール・メーキングの世界では、勝負に勝つことが何より大事です。テーブルにチャンスを置きっぱなしにして、他社にそのチャンスをとられてはいけない。
桑島:そういう意味では日本人は、まだ受け身の姿勢が目立ちます。日本人は「何かおいしいものが食べたい」と思うと、「和・洋・中華・イタリアンの中から好きなものを選べばいい」という感覚がある。でも米国では、ハンバーガーとスパゲティとピザしか出てこない。もし和食が食べたければ、自分からキッチンまで出向いて、「和食を作ってください」と言わなければいけない。
シェフが和食の作り方を知らないなら、自ら作り方を示すことも必要です。それをせずに「毎日ハンバーガーばかりで飽きた」と言っていてもしょうがない。自分で行動しなければ、いつまで経っても和食は食べられないということですね。
バーンズ:そのとおりです。日本企業はもっと積極的に行動したほうがいい(Be assertive)。国際的なルール・メーキングの勝負に参戦しなければいけない。
欧州の防衛産業はワシントンで成功している
桑島:“Be assertive”ですか。かなり強いニュアンスの言葉ですね。「攻めろ」と言っているのに近い。ちなみに外国企業で、ワシントンにおけるパブリック・アフェアーズに成功しているところはありますか?
バーンズ:代表的な例は、ヨーロッパの防衛産業ですね。彼らは長期的な戦略を持っていますし、米国における政策決定のプロセスを熟知しています。だから米国の政策決定に携わる議会関係者と長期的な関係を築いている。彼らは彼らの本拠地、たとえばブリュッセルの政府関係者より、むしろワシントンの政府関係者と親密です。だからこそ、ビジネスで成果を上げることができているのではないでしょうか。
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