日本人はピカピカのボールしか投げない?
桑島: 田村さんは経済産業省に新しくできた「ルール形成戦略室」で、日本が国際的なルール形成のリーダーシップを取っていくことを目指しておられますが、今はまだコミュニケーションの方法においても、「日本の常識は世界の非常識」みたいなところがあったりするのでしょうか。
田村:そうですね。たとえば国際的な会議では、かなりコンセプト重視の議論も多いとの印象です。理念重視でいろいろボールを投げ合って、政策を作っている。
先日、恒例のダボス会議が開催されましたが、こういった場でもそのほかの国際フォーラムでも、皆さんいろいろなことをおっしゃっています。「本当にそんなことできるの?」と言いたくなるくらい、実現できるかどうかはひとまず脇に置いて、皆さん見解を述べてみるわけです。一方、日本人というのは、無責任なことは言っちゃいけないと思って、それならもう壇上にも上らないし質問もしないということになる。
しかし、ああいう場での議論というのは、実はお互いに相手の話を半分ぐらいしか聞いていないのではないかと思います(笑)。そういう前提でボールを放り合うことが、国際社会でのルールメーキングの作法です。
「受け止めてもらうからには、ボールが全部磨かれていないと恥ずかしくて投げられない」なんて皆さん考えていません。ボールを投げないことには議論の中に入れない。ですからやり取りをよく聞いていると、話が微妙にかみ合っていないことも多いです。
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