日本人は「ボールの投げ方」からズレている? 遠慮していては、存在感は高められない

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経済産業省の通商政策局に新設された「ルール形成戦略室」の田村暁彦氏
今、日本企業が世界で勝てない理由のひとつに、各国政府へのアピール不足、ロビイング不足があります。
日本企業が競争力を取り戻すために、必要な視点とは?前回記事に続き、経済産業省に新設された「ルール形成戦略室」を率いる田村暁彦国際規制制度交渉官にお話を聞きます。

※前編:これからの日本は「CSR」で稼いでいける

日本人はピカピカのボールしか投げない?

桑島: 田村さんは経済産業省に新しくできた「ルール形成戦略室」で、日本が国際的なルール形成のリーダーシップを取っていくことを目指しておられますが、今はまだコミュニケーションの方法においても、「日本の常識は世界の非常識」みたいなところがあったりするのでしょうか。

田村:そうですね。たとえば国際的な会議では、かなりコンセプト重視の議論も多いとの印象です。理念重視でいろいろボールを投げ合って、政策を作っている。

先日、恒例のダボス会議が開催されましたが、こういった場でもそのほかの国際フォーラムでも、皆さんいろいろなことをおっしゃっています。「本当にそんなことできるの?」と言いたくなるくらい、実現できるかどうかはひとまず脇に置いて、皆さん見解を述べてみるわけです。一方、日本人というのは、無責任なことは言っちゃいけないと思って、それならもう壇上にも上らないし質問もしないということになる。

しかし、ああいう場での議論というのは、実はお互いに相手の話を半分ぐらいしか聞いていないのではないかと思います(笑)。そういう前提でボールを放り合うことが、国際社会でのルールメーキングの作法です。

「受け止めてもらうからには、ボールが全部磨かれていないと恥ずかしくて投げられない」なんて皆さん考えていません。ボールを投げないことには議論の中に入れない。ですからやり取りをよく聞いていると、話が微妙にかみ合っていないことも多いです。

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