各国政府と折衝し、ルールを変える!
桑島:今回は私の大学時代の同級生でもある、藤井康次郎弁護士にお話を聞きたいと思います。私は企業が政府に働きかけて、自社に有利になるようルールをつくっていく「ルールメイキング」や「ロビイング」の習慣を日本にも根付かせたいと思っているのですが、藤井さんは実際に企業の代理人として日本政府や他国の政府とも渡り合ってきた経験をお持ちです。
それについてお聞きする前に、簡単な経歴を教えてもらえますか。
藤井:大学を出て弁護士になり、西村あさひ法律事務所というところでキャリアをスタートしました。ここは大手の渉外法律事務所で、私は主に独占禁止法や競争法と言われる領域を担当していました。
また、企業の危機管理も多く担当してきました。たとえば企業の役職員がインサイダー取引や粉飾決算など、金融規制に違反してしまったとする。そういうとき検察庁や金融庁などの当局と折衝したり、メディア対応や投資家対応について法律的観点からアドバイスしたりする仕事です。
桑島:政府や当局と折衝するときに大事なのは、どんなことですか?
藤井:法律論で理論武装をしたうえで折衝することですね。たとえばリニエンシーという制度があります。これは入札談合とかカルテルなどに参加していた企業が、自ら「こういう違法行為をしていました」と名乗り出ると、申告者は罪を免れたり、制裁を減らすことができるというものです。
この制度を使うにあたっても、適切な法律論で武装したうえで競争当局と折衝することがよりよい条件を勝ち取ることにもつながります。企業危機管理にしてもそこは同様です。かなりロビイングに近いこともやりますが、あくまでも法律論を軸に組み立てます。
桑島:なるほど。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら