世界のルールを変える、若き弁護士の挑戦 知られざる国際派・渉外弁護士の仕事

✎ 1〜 ✎ 5 ✎ 6 ✎ 7 ✎ 最新
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小
国際派弁護士の知られざる仕事とは?(写真右は西村あさひ法律事務所の藤井康次郎弁護士)
 今、日本企業が世界で勝てない理由のひとつに、各国政府への「ロビイング不足」があります。そもそもロビイングとはどのようなもので、日本企業が今後、身に付けるべき技術とは何か。
 今回は、日本企業や国の利益の拡大のために、各国政府と折衝する西村あさひ法律事務所の藤井康次郎弁護士にお話を聞きます。

各国政府と折衝し、ルールを変える!

桑島今回は私の大学時代の同級生でもある、藤井康次郎弁護士にお話を聞きたいと思います。私は企業が政府に働きかけて、自社に有利になるようルールをつくっていく「ルールメイキング」や「ロビイング」の習慣を日本にも根付かせたいと思っているのですが、藤井さんは実際に企業の代理人として日本政府や他国の政府とも渡り合ってきた経験をお持ちです。

それについてお聞きする前に、簡単な経歴を教えてもらえますか。

藤井大学を出て弁護士になり、西村あさひ法律事務所というところでキャリアをスタートしました。ここは大手の渉外法律事務所で、私は主に独占禁止法や競争法と言われる領域を担当していました。

また、企業の危機管理も多く担当してきました。たとえば企業の役職員がインサイダー取引や粉飾決算など、金融規制に違反してしまったとする。そういうとき検察庁や金融庁などの当局と折衝したり、メディア対応や投資家対応について法律的観点からアドバイスしたりする仕事です。

桑島政府や当局と折衝するときに大事なのは、どんなことですか?

藤井法律論で理論武装をしたうえで折衝することですね。たとえばリニエンシーという制度があります。これは入札談合とかカルテルなどに参加していた企業が、自ら「こういう違法行為をしていました」と名乗り出ると、申告者は罪を免れたり、制裁を減らすことができるというものです。

この制度を使うにあたっても、適切な法律論で武装したうえで競争当局と折衝することがよりよい条件を勝ち取ることにもつながります。企業危機管理にしてもそこは同様です。かなりロビイングに近いこともやりますが、あくまでも法律論を軸に組み立てます。

桑島なるほど。

次ページ米国やEUの当局と折衝することも
関連記事
トピックボードAD
政治・経済の人気記事