桑島:今回は、本シリーズ「日本にはロビイングが足りない!」の最終回になります。最終回は場所を米国ワシントンDCに移し、ボックスグローバル社CEOのロバート・フープス氏にお話をお伺いします。
ボックスグローバル社はオムニコムという世界最大のPR・広告グループの子会社で、ワシントンの政策PR会社では唯一、日本に拠点がある会社ですが、本日は米国の本社のほうにお邪魔しました。非常に興味深いのは、党派性を持たない活動をしていることです。つまり共和党の仕事も民主党の仕事も受ける。日本では政策PRという仕事はあまりなじみがないのですが、どんなことをするのですか?
パブリック・アフェアーズの重要性とは
フープス:たとえば米国牛肉協会が、「米国産の牛肉を食べると健康にいい」と世論に訴えたいとしますね。そんなとき、規制や税制など政策に関するキャンペーンを張るようなことです。
桑島:そのとき、いちばん大事なことは何ですか?
フープス:説得力のあるストーリーをつくることですね。そして「誰に対してそれを語るか」というオーディエンスの設定です。
桑島:僕はつねづね、日本の企業も国内外の政治家に対して、自社に有利なルール形成をするよう働きかけることが大事だと主張しています。つまり「ロビイング」とか「パブリック・アフェアーズ」と呼ばれるようなことですね。それを行うのが海外ではもはや常識であるし、日本はそれが適切に行われていないため、国際的なルール形成において出遅れている場合がある。ルールが決まってから文句を言うのでは遅いんです。
でも米国では一般市民も含めて、積極的に声を上げていくじゃないですか。どうして米国では、こんなにパブリック・アフェアーズの重要性を理解されているのでしょうか。
フープス:やっぱり米国には、イギリスから独立して自分たちで憲法をつくり、国のあり方を決めてきたという歴史があります。いわば「建国の精神」を持っていますから、政治のあり方も市民が決めていくのが当たり前なのだと思いますよ。
桑島:日本はその点、「お上が決めたことに黙って従う」という歴史でした。そこはずいぶん違いますね。
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