日本人が知らない、「政策PR会社」の舞台裏 政策はこうやって実現されている!

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フープス:そういう歴史の違いに加え、人種構成の違いもあります。肌の色の違う人たちが共に住んでいますから、自分の権利をはっきり主張しないとキックアウトされてしまう。地理的にも多様です。アラスカもあればフロリダもある。いろいろな考えの人がいるから、つねに自分の存在を政治的にアピールしていかないと、サバイバルできない社会なのです。
それに米国の歴史は開拓者の歴史ですよね。だから成長とか、変革とか、つねに何かがダイナミックに動いている状態が好きな国民性だと思います。

桑島:だから米国の経済もダイナミックに変わっていくことができるのですね。企業の経営者も、パブリック・アフェアーズというものを自社の企業戦略の一部としてとらえているのですか。

フープス:もちろんです。米国では経営者自身が「社会はこうあるべきだ」と意見を表明するし、アドボカシー(政策提言)にも積極的にかかわります。それが経営者のあるべき姿だと思われています。ビル・ゲイツもしばしば公聴会で発言しますし、投資家のジョージ・ソロスも「オープンソサエティー(開かれた社会)」という概念に基づいて財団をつくったりする。経営者が議会や政策形成に影響を及ぼすのは、ある意味当然ですから、それに失敗したときは、経営者の座を下りることすらあります。

桑島:やっぱり米国のCEOにとって、政策提言を自社のマネジメントとして考えることは必須なのですね。日本の企業経営者も、そういう意識を持たなければいけないでしょうね。でも日本企業はその点、まだ消極的だと思います。フープスさんは、その原因はどこにあるとお考えですか。

フープス:おそらく日本の政治構造に由来すると思いますよ。日本は政治家一人ひとりの持つ力が米国に比べると弱い。たとえば1年生議員に何か言っても、正直いって何も変わりませんよね。しかも今の安倍政権では、ますます官邸や党の力が強くなっています。でも米国では、各種団体が各州で組織化されているので、意見が中央に伝わりやすい。グラスルーツ(草の根運動)の意義が大きいのです。

アドボカシーについて対応すべき3つの変化

桑島:今後、中長期的にアドボカシーについて考えると、どういうことが大事になってきますか。

フープス:3つの大きな変化に対応することです。まずITの発達にともなって、ソーシャルメディアの重要性が増しています。フェイスブックやツイッターをうまく使って、意見を広めることが大事になってくるでしょう。2つめはグローバリゼーション。いろんなアジェンダがグローバル化しています。たとえば女性の人権問題などは、世界的なテーマですよね。つまり、いまや各国ごとに固有の問題は少なくなっているということです。3つめは人口構成。これは米国に特徴的かもしれませんが、たとえばヒスパニックが増えたりして、人種別の人口の構成に変化が見られます。

桑島:ほかにはどんなことが大事ですか。

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