桑島:なるほど。日本、中国、韓国など、アジアの企業はどうでしょう。
バーンズ:日本を含めたアジアの国々は、概してワシントンでのパブリック・アフェアーズがうまくいっていません。中国の大手IT企業の中には、議会から安全保障上に問題があると指摘されるなど、苦戦を強いられているところもあります。
アジアの企業は、米国のコンサルタント企業やPR会社を雇って、ロビイングを代行してもらうというような単純な方法だけに頼っています。もっと長期的視野に立ち、グラスルーツ(草の根運動)も含め、米国の政策決定プロセスに深くコミットする必要がありますね。
桑島:日本企業の駐在員は任期が終わるとすぐ帰ってしまう。それでは長期的な関係は築けないということですね。これから日本企業はパブリック・アフェアーズのできる人材を育てていく必要がありますが、そのためにはどうすればいいとお考えですか。
バーンズ:パブリック・アフェアーズを担う人材には、多様なバックグラウンドが必要です。政治ジャーナリスト、通商政策の専門家、または同業他社の出身者など、多様なバックグラウンドを持った人材が集まる企業は強い。経験が大切です。
IBMでもさまざまなバックグラウンドと経験を持った人材を求めています。また社内向けの研修でも、外部での短期研修や他社や他機関との人事交流の機会を設けて、社員に多様な経験を積んでもらうように工夫しています。さらに社内専用のeラーニングシステムでも、パブリック・アフェアーズについて学ぶ機会を設けています。
桑島:日本企業が今後の方針を考えるうえで、大いに参考になるお話でした。ありがとうございました。
(構成:長山清子)
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