私はそうした現場で行われている日々の「改善・改良」を「Bisa(微差)」と名付け、日本企業は「Bisa」こそ大切にするべきだ、と主張しています。
今回、紹介する良品計画も、その好例です。同社の取り組みを通して、個人の気づきを「改善・改良(Bisa)」に生かし、「Bisa」を「微差力」に高めるポイントを解説します。
日本の現場に必要なのは、「大きなイノベーション」もさることながら、むしろ「小さな『Bisa』」を積み重ねていくこと――それが私の基本的な考え方です。
「Bisa」を積み重ねていくにあたって重要なのは、現場での「気づき」を吸い上げる仕組みです。それがなければ、誰かが「こう改善したほうがいい」と気づいても、日々の業務に追われる中で、ついつい後回しになり、結果として現場の「気づき」が活かされないからです。
現場から「Bisa」を吸い上げる2つの仕組み
良品計画はそのために、2つの仕組みを構築しています。ひとつは、現場で働くスタッフの要望を吸い上げる「改善提案」制度、もうひとつは、店頭でお客様から寄せられた意見などで必要と思われることを入力する「顧客視点シート」です。
もちろん、2つの仕組みを作るだけでは、改善・改良を現場に定着させることはできません。当初、多くの店舗が、改善提案を集めるのに苦労したといいます。通常業務に追われ、現場での気づきをパソコンに入力する時間がなかったり、スタッフの熱意や関心にバラツキがあったりしたせいです。
各店舗で、手が空く時間帯を「改善提案の入力時間」として確保したり、改善提案数を個人別にグラフ化したりするなどの試行錯誤や工夫を重ねながら、現場に定着させていきました。
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