無印良品、強さの秘密はどこにあるのか 「Bisa(微差)」を「微差力」に高める

✎ 1 ✎ 2 ✎ 3 ✎ 4 ✎ 最新
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

良品計画は、現場で働くスタッフの気づきを改善提案として吸い上げ、店舗運営マニュアルである「MUJIGRAM」に反映させています。

良品計画の店舗運営マニュアル「MUJIGRAM」

この「MUJIGRAM」には、売り場におけるディスプレーの仕方から、接客や発注に至るまで、店舗運営に関するあらゆるマニュアルが網羅され、総ページ数は2000ページを超えます。

現場の「気づき」がマニュアルに反映されるかどうかの基準は、「すべての店舗で採用できるものかどうか」。一部の店舗でしかできない取り組みや、実現するのが極めて難しい取り組みは、全社共通のマニュアルには不向きだからです。

軌道に乗せるまでに約5年

現場の小さな「気づき」を吸い上げ、「MUJIGRAM」に反映させる。その流れを軌道に乗せるまでに、約5年かかりました。

現在、改善提案は全国から年間約5000件が本部へ寄せられ、そのうち毎月20~30件の提案が採用され、「MUJIGRAM」に反映されています。

この「MUJIGRAM」が更新されるたびに、現場の生産性や効率は高まり、一連の変化に対する現場の貢献感も高まっています。

「イノベーションを起こせ」という空虚な号令をかけるのではなく、小さな「Bisa」の積み重ねで、企業の競争力を高める。良品計画はその成功事例といえます。

現場での地道な改善・改良を「Bisa」として全員参加で続け、「現場の知恵」として共有する。それが私の考える「Bisa」を「微差力」に高めるポイントです。しかし、全員参加で改善を長年続けるのは、容易なことではありません。

そのための仕組みとして欠かせないのが、「褒める」仕組みを埋め込み、定着させることです。

次ページ現場の士気を高く保つには?
関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事