良品計画は、現場で働くスタッフの気づきを改善提案として吸い上げ、店舗運営マニュアルである「MUJIGRAM」に反映させています。
この「MUJIGRAM」には、売り場におけるディスプレーの仕方から、接客や発注に至るまで、店舗運営に関するあらゆるマニュアルが網羅され、総ページ数は2000ページを超えます。
現場の「気づき」がマニュアルに反映されるかどうかの基準は、「すべての店舗で採用できるものかどうか」。一部の店舗でしかできない取り組みや、実現するのが極めて難しい取り組みは、全社共通のマニュアルには不向きだからです。
軌道に乗せるまでに約5年
現場の小さな「気づき」を吸い上げ、「MUJIGRAM」に反映させる。その流れを軌道に乗せるまでに、約5年かかりました。
現在、改善提案は全国から年間約5000件が本部へ寄せられ、そのうち毎月20~30件の提案が採用され、「MUJIGRAM」に反映されています。
この「MUJIGRAM」が更新されるたびに、現場の生産性や効率は高まり、一連の変化に対する現場の貢献感も高まっています。
「イノベーションを起こせ」という空虚な号令をかけるのではなく、小さな「Bisa」の積み重ねで、企業の競争力を高める。良品計画はその成功事例といえます。
現場での地道な改善・改良を「Bisa」として全員参加で続け、「現場の知恵」として共有する。それが私の考える「Bisa」を「微差力」に高めるポイントです。しかし、全員参加で改善を長年続けるのは、容易なことではありません。
そのための仕組みとして欠かせないのが、「褒める」仕組みを埋め込み、定着させることです。
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