久手堅さんによると、気象病の一番の要因は、“気圧”だという。飛行機に乗ると耳がキーンとなる現象を経験した人は多いと思うが、昔から気圧と体調不良には関連があることが指摘されてきた。
「気圧が体調不良をもたらすのは、自律神経に影響を与えるからです。自律神経は人が生きていくためには常に外の環境にあわせて、体を関節する役目をしています。
そのため、気圧が一定であれば体調は安定しますが、例えば、台風のような大型でスピードの速い低気圧が通過するときは、ジェットコースターのように気圧が乱高下するため、自律神経が対応しきれずに不調を招きやすいのです」
台風でいうと、台風の目の中にいるときはケロッとしているけれど、その前後は不調が強くなるという感じだという。
問題は気圧の変化なので、台風だけではなく、昨今は線状降水帯にも注意が必要だ。気圧が急激に下がるため、不調が起こりやすい。6月の梅雨や、秋の長雨も要注意だ。
気温の大きな変化も原因に
気圧以外では、気温の大きな変化も関係する。
「気温も差が大きいほど症状が出やすい。ですので、朝晩と日中の温度差が大きくなったり、前日と翌日の温度差が大きくなったりする、季節の変わり目は体調を崩しやすいですね」(久手堅さん)
さて、その不調が気象病であるかどうかを診断するにあたって、大前提となるのは、重大な病気との鑑別だ。
「頭痛であれば、MRI(核磁気共鳴画像法)などの画像検査で調べて、脳腫瘍や脳動脈瘤(りゅう)など、脳に重篤な病気がないことを確かめることが大事です。ほかに甲状腺の病気や、自己免疫疾患などがないかも血液検査で確認します。こうした検査で不調の原因となる病気が判明したら、まずはその病気の治療を受けることが先決です」(久手堅さん)
一方、検査では原因が見つからず、気象の変化で体調不良を感じたり、体調不良によって天気予報ができたりするという訴えが強ければ、気象病の可能性が高い。
同院では、まずは詳細な問診票で不調の状況を確認し、その後の診療でその人の不調が気象に由来しているかを判断するという。たとえば、下のセルフチェックリストにある項目について詳細に聞いたり、今までにかかったことのある病気やアレルギーの有無なども確認する。
1. 天候が変わるときに体の不調やメンタルの不調がある
2. 雨が降る前や天候が変わる前に、何となく予測ができる
3. 頭痛持ちである
4. 肩(首)こり、肩(首)の持病や不調がある
5. めまい、耳鳴りが起きやすい
6. 倦怠感が強い。起床時、日中にだるい
7. 低血圧ぎみで、血圧が低いと体調が悪くなる
8. 精神的不調(不安障害、適応障害、抑うつ、統合失調症)などがある
9. 姿勢が悪い。猫背やそり腰がある
10. 古傷があり、ときどき痛みが出る
11. 原因不明の動悸や消化器の不調がある
12. 「1日4時間」以上PCやスマートフォンを使う日が多い
13. 乗りもの酔いすることが多い
14. ストレッチ、柔軟体操などをすることが少なく、運動習慣ももたない
*1、2が当てはまる場合は高い確率で気象病の可能性あり。いずれかが当てはまる場合でも気象病の可能性は約80%
*3〜11は気象病の典型的な症状
*3〜14のうち複数当てはまる場合は気象病の不調に見舞われやすい
*該当する項目が多くても必ず気象病であるとは限らない
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