儲かりたいなら「誠実になるしかない」必然的理由 アダム・スミス「資本主義のタテマエとホンネ」

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資本主義の世の中、正直者がバカを見る傾向にあると思うのは気のせいでしょうか(写真:NewStella/PIXTA)
SDGsやESG投資、パーパスブランディングなど、ビジネスに倫理観を掲げる風潮がありますが、SDGsウォッシュなど見せかけだけの活動もあり、何が正しくて何がよいのか、どう仕事に向き合えばよいのか迷うこともあるかもしれません。
では、もしアダム・スミスが、そんな今の私たちの仕事の悩みを聞いたら、なんと答えてくれるしょう。
NHKで「欲望の資本主義シリーズ」のプロデューサーを務める丸山俊一氏が、「もし今、古今東西の知の巨人がいたら」とアダム・スミスに代わって、質問者との対談形式でお答えします。(記事は『働く悩みは「経済学」で答えが見つかる』より抜粋しています)。

正直、誠実、マジメ…「経済的な成功」はやさしい?

質問者: SDGsやESG投資といった話をよく聞きますが、タテマエで倫理が大事と言っているだけで、やっぱりホンネは儲けるが勝ちって、みんな思っているんじゃないでしょうか。一方では転売ヤーの利幅のほうが、製造者や店舗よりも大きかったり。なんだか正直者がバカを見る、ようなところがあるような気がしています。

アダム・スミス:アダム・スミスです。皆さん名前はご存じかもしれません。それにしても、どうやら私は、みなさんの間で〝経済学者〞というイメージを持たれてすでに久しいようですが、正直、そのこと自体、自分自身はあまりしっくりときませんね。

というのも、そもそも、私の時代には経済学者と呼ばれる学者はいませんでした。というより、〝経済〞という学問分野がなかったのです。

だから、その意味では、私は確かに、みなさん言うところの〝経済学〞の礎を築いた人物と言えるかもしれませんが、それ以前に、本来、道徳哲学者と名乗るべきでしょうからね。

質問者:経済と道徳というとなんだか私にとって遠いというか、水と油のような関係にあるように感じていたので、あの需要と供給の曲線のグラフでお馴染みのスミス先生が、道徳哲学者と名乗られるのは、新鮮です。

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