「データの奴隷」私たちの仕事が変質してゆく是非 ケインズが「デジタル資本主義」を分析したら

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デジタル経済のなかで働く私たちが知っておきたいこと(写真:metamorworks/PIXTA)
デジタル経済のなかで、日々効率化を目指したり、数字とデータを追って仕事をしていると、時に「何のために行っているのか」と感じたことがある方もいるかもしれません。では、もし、ケインズが今の私たちの仕事の悩みを聞いたら、なんと答えてくれるでしょう。
NHKで「欲望の資本主義シリーズ」のプロデューサーを務める丸山俊一氏が、「もし、今、古今東西の知の巨人がいたら」とケインズに代わってお答えします(記事は『働く悩みは「経済学」で答えが見つかる』より抜粋しています)。

数字とデータを追う仕事は何のため?

質問者:効率化を目指して、数字とデータを追って日々仕事をしているけど、何のためだかわからなくなってきました。これで本当にいいんでしょうか?

ケインズ:はじめまして。ケインズと申します。さて私はと言えば、社会科の教科書でもすっかり〝有効需要〞創出の権化になっているようですね。

市場に任せるだけでなく政府が介入すべきという思想の人=〝修正資本主義〞者、財政政策の推進者としてのレッテルを貼られてしまったようで……。みなさんがステレオタイプのイメージをお持ちでないことを願いたいところです。

まあ、私自身、仕事がないなら、公共投資でピラミッドを作ればよい。炭鉱労働者が失業した? では、炭坑にポンド紙幣を埋めて、それを掘り出させればよい、などとついついサービス心でこうした表現で遊んでしまうからいけないのかもしれませんが。

しかし、奇をてらわずに申しますと、私の真骨頂は、社会の中に生きる人々の心の底を洞察することにあったと自負しています。

ですから、経済学の革命だと当時評判になった『雇用・利子および貨幣の一般理論』で取り上げた〝美人投票〞の話など、古びることなく、現代のデジタル資本主義の時代にもますます説得力を持ってみなさんに響いているのではないですか?

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