ケインズ:しかし、もう1つの大きな疑問があります。今、情報を処理するスピードが飛躍的に高まる技術や、また話題の人工知能など人間の代わりをする技術など、新しいテクノロジーが急速に広まっていますが、それらが経済の成長のエンジンになると思われたにもかかわらず、停滞を招いているようですね。
現代の資本主義は〝ドミノゲーム〞
ケインズ:〝デジタル革命〞と呼ばれる、コンピューターの論理による新しい技術が次々と生まれて、加速度的に新たな発展が進行、多くの先進国でデジタル化が進んでいるわけですが、北欧のフィンランド、スウェーデンなどの人口の少ない社会民主主義的な国々のモデルを例外として、それに応じた経済成長を実現している国はあまり見当たりません。これは、重大な問題でしょう。
たとえば、2008年にリーマンショックと呼ばれる世界的な金融危機がありましたね。その後も景気の低迷は続き、そうこうしているうちにパンデミックで世界的な停滞を迎えてしまいました。
しかし、実は、金融危機の前からすでに先進国の景気は減速していたという説もあるようですね。すると、21世紀に入ってからの世界経済の景気低迷は、金融危機と直接因果関係がない可能性があります。
〝ドミノ〞というゲームがありますが、1つの駒が倒れると次々に、なだれのように隣りの駒も倒れていきますよね。
グローバル化で現代の資本主義は、世界中が巻き込まれていく〝ドミノゲーム〞であることは、もはやみなさん常識化していると思いますが、現代のデジタルテクノロジー開発の大潮流にあっても、好ましくない横並びの波及効果を招き、〝成長〞という数字には現れにくい可能性を冷静に認識しておく必要がありそうですね。
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら