天才の子どもが「大抵は天才じゃない」という真実 家系や血筋による遺伝だけで人は大成しない

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父親を怖がる娘
ほとんどの天才は遺伝とは無関係かもしれない!?(写真:ノンタン/PIXTA)
芸術、科学、スポーツ、ビジネス、さまざまな分野でイノベーションを起こす「天才」たち。その能力は、生まれつきの才能? それとも本人の努力? 『イェール大学人気講義 天才 〜その「隠れた習慣」を解き明かす』から一部抜粋、再構成して全3回でご紹介。第1回「天才は『生まれつきか』『本人の努力か』永遠の論争」(8月28日配信)に続く第2回をお届けする。

天才は、つくれるのか?

「先天的対後天的」という表現は、チャールズ・ダーウィンのいとこであるフランシス・ゴルトンが広く一般に広めたもので、その著書『Hereditary Genius: An Inquiry into Its Laws and Consequences(天才と遺伝)』(1869)で用いられた。

ゴルトンは1000人近くの「著名」人を調べたが、ごく一部を除いて皆、イギリス生まれの男性であり、なかには彼自身の親戚も含まれていた。そう聞けば、天才でなくとも、この問題に関するゴルトンの見方はわかるだろう。つまり、天才は家系によるもので、遺伝であるから、人の能力は出生時に受け継がれるもの、という見方だ。

『Hereditary Genius』の1ページ目でゴルトンは、「慎重に選べば、走力が特段に優れているとか、何か特別なことができるといった資質に恵まれた犬や馬を永遠に繁殖させる」ことや、「何世代か慎重に選んで結婚させることで、非常に優秀な人間の種を永続させる」ことは可能だと述べている。

できることなら、ゴルトンのこの選抜育種の発想が、優生学の始まりになったことは忘れたい。なぜならこれが、国家社会主義の死の収容所につながったのだから。ゴルトンの考えはとにかく間違っていた。選抜育種でスーパーホースはつくれないし、「恵まれた才能の人間種」もつくれない。

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