
自分では持って生まれた才能に気づいていないケースもあります(写真:すとらいぷ/PIXTA)
芸術、科学、スポーツ、ビジネス、さまざまな分野でイノベーションを起こす「天才」たち。その能力は、生まれつきの才能?それとも本人の努力?『イェール大学人気講義 天才 〜その「隠れた習慣」を解き明かす』から一部抜粋、再構成して全3回でご紹介。第1回をお届けする。
終わらない議論
「答えなんてないよ! 答えなんてない! そんなのわかるわけがない!」
私が「天才の資質探求」の第1回の授業で問いかけると、多くの熱心な学部生たちが口々に叫ぶ。学生たちは通常、ノートに記して持ち帰り、試験のときに解答に使えそうな答えを求める。
だが私は、まずこの点を理解させておくことが重要だと考えている。つまり、何が人を天才にするのか――先天的なものか、後天的なものか――というシンプルな問いにも、これといった答えはないということだ。
この問題は私の授業でもいつも議論を呼んでいる。理系の人(数学や科学専攻の人)は、天才は天賦の才能によるものだと考える。親からも教師からも、あなたは数量的な論理的思考力を持って生まれてきたのだと繰り返し言われてきたからだ。
体育会系の人(大学のスポーツ代表選手)は、優れた成績はすべて努力の賜物だと考える。努力なくして進歩なし。いい成績を残せたのは、何万時間という練習の結果だとコーチに言われてきたからだ。
政治学者の卵で保守派の人は、天才は神から与えられた才能だと考え、リベラル派の人は、後天的に環境によって育まれたものだと考える。
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