清澄白河の超個性派カフェへ行ってみよう ブルーボトルの出店で賑わうカフェの街

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学生時代から手を動かして何かを作りだすのが好きだった。文化服装学院卒業後は一時アパレル会社に就職したが、思い立って、もとから好きだったコーヒーの道へ。「きれいな格好をしてお客さんの前に立つ仕事ではなく、川の上流で職人的な仕事がしたい」と、1925年創業の老舗、山下コーヒーに入社した。生豆の輸入販売や自社焙煎のコーヒー卸売を行う会社である。

ARiSE COFFEE ENTANGLE(アライズ コーヒー エンタングル)店内

焙煎士となった林さんは、裏方として一日中焙煎機を回しながら技術を磨いた。転機は入社後10年目の区切りが見えてきた頃。偶然か運命か、ある日、取引先であるピエール・マルコリーニでチョコレートを購入しようかとウェブサイトを眺めていた林さんは、ピエール・マルコリーニの母体の会社が新しく清澄白河にコーヒー事業部を設立することを知る。「そこに書かれていた出店場所の住所が自宅からスケートボードで通える場所だったので、とりあえず履歴書を送ってみたんですよ」。

数年間に渡ってピエール・マルコリーニ用のコーヒーを焙煎してきた実績がものを言ったのか、即、採用が決まった。それが2012年春にオープンしたザ クリーム オブ ザ クロップ コーヒーだ。現在、同店は清澄白河だけでなく渋谷のヒカリエ内にもある。

ペーパーフィルターで丁寧に抽出する

清澄白河に造られた焙煎工場で、林さんはお客と直接言葉を交わすようになる。その触れあいがことのほか面白かった。人々はコーヒーに関する質問以外にも、予想外のカラフルな質問を投げかけてくる。

林さんはたびたび町の観光案内所的な役割を求められた。その場でダイレクトに返ってくる反応。「多方面につながりができていくにつれて、会社組織の中ではなく自分の裁量でいろいろ実現できたら、と思うようになった」。そして1年半後に独立開業し、アライズ コーヒー ロースターズが生まれた。

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