1杯8000円!「糞コーヒー」は魅惑の香り? アジアの知られざるオモシロコーヒー事情とは

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アジアには実にユニークなコーヒーがあふれている

インドネシアには、「ほぼ富裕層しか飲まない」と言われるユニークなコーヒーがある。コピ・ルアク(インドネシア語で Kopi Luwak)と呼ばれるそれは、なんとジャコウネコの糞から採取される未消化のコーヒー豆のことだ。

ジャコウネコの体内で12時間自然発酵され、さまざまな酵素と独特の香りがしみ込んだ豆からは、言葉では表しがたいまろやかさと深いコクが生まれる。発酵、酵素、コーヒーと聞けば、「なにやら美容にも健康にもよさそう」と日本女性が飛びつきそうである。筆者もジャカルタの喫茶店で普通のコーヒーと飲み比べをしてみたが、味の違いは歴然だった。

野生と飼育で値が異なる

モールの中にあるコピ・ルアクのチェーン店では、1杯800~1000円ほどで飲めるが、屋台のコーヒーが50円前後で飲めるこの国では高い一杯だ。一般人の口には確かになかなか届かないだろう。ジャコウネコが鎮座した金色に輝くカップ&ソーサーに、店員のお姉さんが、まるで厳かな儀式かのようにオーガンジーの袋からコーヒーを丁寧に取り出し、静かに淹れてくれる。日本だと、1杯8000円もするところがあるというから驚きだ。

このコーヒー豆、生産過程が特殊かつ複雑なので、実に高価に取引されている。飼育されたジャコウネコの糞コーヒーも出回っているようだが、赤く熟した実だけを食べるという野生のジャコウネコの糞はたいへん希少なもので、飼育のそれとは比べ物にならない値がつく。ジャカルタのスーパーでも売っているものの、偽物もあると言うし、買うのに勇気がいるひと品だ。

現在7カ国のアジア女子をネットワークしている博報堂亜女子会議(女の欲望ラボとの協働プロジェクト)のメンバーに、アジアのコーヒー事情について尋ねたところ、様々な情報が得られた。無料Wi-Fiが完備されたモダンなコーヒー店が増えコーヒーの低年齢化が進んでいること、使い捨てのカップでコーヒーの心が失われつつあること、などなど。

コーヒー好きと答えた亜女子は半数程度、そのうちコピ・ルアクを飲んだことがあるという人は1人だけだった。やはり、雲の上のコーヒーのようである。

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