2020年4月、1回目の緊急事態宣言が発動、街から人が消えた。飲食店をはじめ、さまざまな企業が打撃を受けたのは周知のとおりだ。実際に、新型コロナウイルス関連の倒産(法人および個人事業主含む)を確認すると、全国で3636件と判明している(7月4日時点、帝国データバンク)。さまざまな対策をし、ギリギリのところを何とかもちこたえていた企業も多いだろう。
足元では新型コロナウイルス第7波に見舞われており、再び苦難に直面している企業も少なくないだろう。一方で、苦しい局面を乗り越えて体質が強くなった企業も少なくない。今回は、業種の異なる経営者3名を取材。ホテル業、食品加工業その他(サービス一般)、日本語教育とグローバル共創デザイン、それぞれの2020年から現在まで「コロナ禍」に苦しんだ企業が、「この2年をどう過ごし、現在はどのような状況なのか」を追った。
インバウンドがゼロになって大赤字になったホテル
1人目は、ベッセルホテル開発・代表取締役社長の瀬尾吉郎さん。ベッセルホテル開発は、現在開発中を含め、グループで34軒のホテルを全国に展開。地方の名物など魅力的な朝食サービスやくつろげる客室、好立地で家族連れにも人気のホテルグループだ。
しかしコロナ禍で厳しかった2020年度は、グループで30億円以上の赤字を計上。瀬尾さんは「本気の生き残りをかけて、多くの改革に取り組んだ」という。
「2020年度がいちばんの底でした。売り上げの30%を占めていたインバウンド(訪日外国人客)利用が消滅したんです。2020年度の既存店の売り上げは、2019年度比50%以下に激減し、稼働率も20~30%台のホテルが続出しました。とくに沖縄本島は、現在4つのホテルがあるうち6~7割が海外のお客様だったのが、一気にゼロになりました。本当に厳しい時期でした」
コロナ禍での会社の生き残りは「スタッフ全体で取り組まなければならない」と、瀬尾さんは全従業員に向けて、毎月ビデオレターを作成している。
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