コロナ禍の存続危機乗り越えた経営者3人の奮闘 売り上げ急減の事態、どう対処してきたのか

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「私は毎月、グループの全従業員に向けたビデオレターでエールを送り、さまざまなことを話してきました。その中で『売り上げ増加策やコスト削減策、お客様満足度の増加策はないか』とアイデアを募ったんです。特に宿泊客が減っている中で、宿泊以外の部門で売り上げを上げられないか、を中心に考えてもらったんです。そうしたら多くの案が出て、それを実現していきました」

従業員の案で実現してきたなかの一部は、以下のような内容だ。

・ホテルでのウーバーイーツの導入
・お土産販売
・イベント開催
・マルシェ販売
・デイユース販売
・漫画喫茶開始
・外部への駐車場貸出
・マッサージ師への賃貸

特にウーバーイーツの導入はうまくいった。ベッセルホテルズの特質上、厨房は朝食しか使わないので、昼夜は空いている。そこで、ウーバーイーツに特化した会社とフランチャイズ契約し5店舗を運営。年間7000万円以上の売り上げを獲得でき、1つのビジネスとして根付いてくれた。

2021年度からは、どうにか黒字転換に成功。2022度も黒字を維持し、稼働率も70%台に回復しているという。

会社設立ほどなくコロナ禍、企画がすべて中止に

2人目は、KAWANEホールディングス代表取締役社長の迫 洋一郎さん。静岡県・榛原郡 川根本町は毎年200人強の人口減少が起き、限界集落、消滅地域へと進んでいる地域だ。迫さんは2020年1月にKAWANEホールディングスを設立。現在は7つの事業(宿泊&観光事業、ゆず加工販売事業、お茶加工販売事業、食事業、介護事業、ICT事業、経営コンサル事業)を展開している。

しかし起業してほどなくコロナ禍に見舞われる。

「高品質で、静岡県イチの出荷量を誇る『川根本町産ゆず』という特産品を使った、ゆず加工販売事業を行う子会社化『KAWANE SENSE』も同月に設立していました。しかし、予定していた企画はほとんど中止。海外向けでは流通がすべて止まり、国内向けでは観光客などの人流が止まり……。対面販売等の営業行為を大きく見直さざるをえない状況となりました」

その後も、コロナ禍の影響で事業全体が苦戦。営業活動が思うようにできない日々でも、人件費、その他経費はかかり続けた。

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