「父親に刺されかけ、16歳で東大合格」彼のその後 AI博士カリスの超シンプルなキャリア戦略
「ある雨の日に、泥酔した父親に刺されそうになって、僕は裸足でずっと逃げ隠れてたんです。その時に『僕って死んでるみたいに生きてるな』と思って。
でもこの状況って良く考えれば、これ以上のどん底なんてないし、何をしても失うものがない無敵状態。
それなら自らの意志で、ここから人生を好転させたっていいんじゃないかと思って。全てをリセットできる海外で、大学進学することを本気で考えるようになりました」
そこでカリスさんが選んだのが、日本の最高学府・東京大学に進学してITとAIを学ぶことだった。
カリスさんが東大を選んだ理由
「僕がなぜ東大を選んだかというと、まずは韓国を出たかったから。あとは、試験の形式です。例えば、アメリカの大学は課外活動の評価が入試に影響するので、不登校かつ高校非進学の僕には不利なんですよ。
でも、東大はペーパーテストの結果だけで合否が決まると知って『ここだ』と思い狙いを定めました。“無敵の人”である自分は、頭脳でも覚悟でも誰にも負けるわけがないと、思いこんでいましたから。
そして理工系、さらにはIT、AIの分野を選んだのは、明らかに『これからの社会の舵を切る主体はここ』だと察したからです。
AIはきっと、人類にとって最後にして最大の発明になる。それ以外の結論は考えられない。だったら、その専門性を身に付けることこそが『自分が勝てる可能性が高い筋書き』なんじゃないかって」
外国人入試(※日韓理工系学部留学制度。現在は廃止されている)制度を通じて、16歳で東大に合格したカリスさん。東大進学後は、数多あるAIの中でも「医療AI」を専門にした。
その理由を「自分の市場価値を最大化するためだった」と続ける。
「どういう領域なら、自分がその第一人者になれるのかを考えたんです。そこで周囲を見渡してみると、僕の知る限りでは医療AIを研究している人はいなかったですし、この分野なら意義を感じながら研究に取り組めそうだとも思えました」
また、現在取り組んでいる医療AI研究テーマを決める際も「多くの人が必要としているにもかかわらず、やっている人が少ないこと」が何かを考えた。
「研究者の中には、研究テーマを周囲に合わせたり、教授から言われたものをそのまま選んだりする人も少なくはありません。