G7で最下位「日本の労働生産性」がこうも低い理由 「LayerX福島良典×ナレッジワーク川中真耶」
福島:もっと言えば、同じBtoBのビジネスにみえても、その会社のビジネスモデルがどういったものかを見極めるのは重要です。
例えば受託開発や人月のようなビジネスモデルの場合、どんなに優秀なエンジニアでも幸せにできる企業は1案件で1社。でもクラウドサービスなら、一つのプロダクトで数百万社で働く人たちを幸せにできます。つまりレバレッジが利くわけです。
企業の生産性という話題はあらゆる場所でディスカッションされますが、「ソフトウエア企業の生産性が高い」は半分真実・半分ウソで、生産性が高いソフトウエア企業というのはプロダクトに投資して、プロダクトでスケールしている会社のみにあてはまります。BtoBでも全く同じことが言えます。
世の中にはびこるムダをなくすためにも、優秀な頭脳はより大きな効果が出る場所で使ってほしいんです。それが企業の生産性向上、ひいては社会の生産性向上につながっていくのだと思いますから。
クラウドサービスは「ウェットな時間」をつくる
——お二人は、業務効率化、労働生産性の向上の先にどんな世界を思い描いているのでしょうか?
福島:効率化や生産性向上と言うと、どうしても「機械的」「冷たい」など、非人間的なイメージを持たれがちですがむしろ逆だと思っています。
仕事が効率的に回るようになれば、お客さまとのコミュニケーションを増やしたり、社員同士が仲良く働くための活動に時間を割く余裕ができます。
仕事のための仕事をなくし、浮いた時間を「人間らしいウェットな活動」に使う。そこにこそ効率化や生産性向上に取り組む価値があると思います。
川中:その通りだと思いますね。僕たちが効率化を支援するのは、ムダな仕事に翻弄されずに本来取り組むべき仕事に集中してほしいからです。
営業活動において「提案書を書く」ことはあくまでも手段。真のゴールは「顧客の課題を解決する」ことによって売上を立てることにあります。そんな真のゴールに向かって真っ直ぐ進むための合理的な手段を提供するのが、僕らの存在意義。
営業は顧客の声に耳を傾けてナンボですから。福島さんの言う「ウェットな時間」を増やすためというのは、とても分かりやすい表現だと思います。