G7で最下位「日本の労働生産性」がこうも低い理由 「LayerX福島良典×ナレッジワーク川中真耶」
川中:『バクラク』が扱う法人支出管理周りと同様、営業活動にも非効率な業務がはびこっています。ある調査によると日本企業の多くが、提案資料の作成や営業資料の検索などの商談準備に業務時間の50%も費やしているのに、顧客対応にかける時間はわずか20%に過ぎません。
本来営業は、顧客の課題を発見し解決するのが仕事であるにも関わらず、いまは提案に必要な情報を集め、資料を作成することに多くの時間を割いている。営業を取り巻く環境に非効率な作業が多く含まれているのは明らかです。
『ナレッジワーク』では、こういった課題を解決し、ワークエクスペリエンス(業務体験)の向上に貢献したいという想いがあります。
日本の労働生産性の低さの原因は?
——先日、「日本は主要7カ国の中で最も労働生産性が低い」という調査結果が話題になりました。他国に比べて立ち後れている原因はどこにあると思いますか?
福島:法人支出管理で例を出しますと、例えば請求書が紙かPDFで送られてきて、それを経理担当者が1枚1枚確認してシステムに打ち込むような非効率な業務プロセスはどこの国でもあります。日本だけが際立って効率が悪いわけではありませんし、もちろん日本人の能力が他国の人より劣っているからでもありません。
しかし日本固有の問題として思い浮かぶのは、業務システムに合わせて業務を変えるのではなく「システムをカスタマイズしたがるクセが抜け切れていない」ことではないでしょうか。これは他分野でもクラウドサービスの活用を阻んでいる大きな要因だと感じます。
川中:同感です。法人向けクラウドサービスは顧客ごとにカスタマイズをしない代わりに、ベストプラクティスを安価な価格帯でスピーディに利用できるのが売り。
お金や時間、人員などのリソースは、事務作業のような非競争領域ではなく、コア業務に振り分けるべき。それであれば、請求事務や営業事務など、どの企業でも行うような一般的な業務は、クラウドサービスに合わせて標準化した方がはるかに効率が上がります。効率化の基本は「再利用」ですからね。