戦後77年、改めて学びたい「太平洋戦争」勃発の訳 1929年の世界恐慌がもたらした領土拡大政策

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世界恐慌で自国が貧しすぎるので、背に腹は代えられない……ということで中国進出を目論んだ日本でしたが、そういった領土拡大自粛ムードの風潮はしっかりと汲み取っていたのです。

そのため満州についても、「日本の一部です!」と堂々と宣言するのではなく、実際は日本の息がかかっていて、ほぼ日本みたいな地域なのに、形式上「中国からの独立国です!」という形をとったのです。

ですが、そんなめちゃくちゃな国は認めない!ということで中国と揉めてしまいます。満州を警備するために日本から派遣されていた日本軍と、現地の中国軍との間で小規模な軍事衝突が頻発するようになってしまうのです。こうした小競り合いが続いて、次第に中国と日本は戦争へと突入していくのです。

この戦争を日本vs中国の戦争ということで「日中戦争」といいます。

中国が必死に粘った背景

この日中戦争は、かなりの泥沼戦になりました。一度日本は当時の中国の首都南京を攻め落とすのですが、首都を失っても新しい首都を誕生させる!といった具合で中国がかなり粘り強く戦いをしてきたので、日本が想像した以上に戦闘が長引いてしまいます。

中国側が必死に粘ってきたのは、欧米諸国の雰囲気をしっかりと感じ取っていたためです。満州国を無理やり建国して、それがきっかけで中国と戦争になった、という日本に対しての国際社会の風当たりが強いことは中国としてもわかっていて、頑張って戦争を続けていれば、戦争反対のムードを重んじる欧米諸国から援助してもらえるだろう!と思っていたのです。

欧米諸国も欧米諸国で、清の時代から中国の領土をさんざん搾取していたのですが、日本がガッツリと戦争をしてまで満州を独占しようとしたのは、やりすぎだよね……一回痛い目見せておいた方がいいかもね……という雰囲気だったのです。

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