サンリオ「第2のハローキティ」生み出す本気改革 ライバル続々登場、かわいいではもう勝てない

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「今まではそれぞれの部の最適になりやすい形だったが、社内横断で事業を最大化するにはまとめ役が必要になる。IP創造部を中心にいろいろな部署と連携して、アイデアを共有しながらやっていきたい」(プロデューサーを務める池内慎一朗氏)。

「共感」こそ現代キャラクターの必須要素

次世代スターを狙ううえでのキーワードは何か。サンリオキャラクター大賞1位(2022年)のシナモロールのデザイナーで執行役員の奥村心雪氏が指摘するのは「ファンが共感する要素」だ。

同社の「ぐでたま」はその成功例だ。つねに「だりぃ」などと元気がなく、正直すぎるキャラクターで現代人の共感をつかんだ。テレビの情報番組やLINEスタンプなどで人気を獲得し、ツイッターのフォロワーは100万を超える。2022年にはNetflixで実写作品が全世界で配信される。

ぐでたまは、かわいいが中心のサンリオキャラクターの中で異質の存在。ファンの共感を取り込んだ(撮影:今井康一)

奇しくも、ぐでたまも2013年にユーザー参加型の「食べキャラ総選挙」から誕生(第2位)したキャラクターだった。次世代のキャラクターもぐでたまのようにファンの共感をつかみ、グッズや映像、デジタルなど多方面で収益化できるキャラクターを目指す。

もちろん、大先輩のキティも簡単に後輩に道を譲るつもりはない。キティは2024年に生誕50周年を迎える。大々的なキャンペーンを張り、再度の大ブームを狙う考えだ。

キティに次ぐキャラクターの登場は、サンリオが長年指摘されてきた課題だった。過去の強烈な成功体験を捨て去り、次世代のキャラクターとヒットのモデルを確立できるか。改革を掲げる辻社長の下、全社レベルのプロジェクトを強力に推進し続けることがポイントになりそうだ。

田邉 佳介 東洋経済 記者

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たなべ けいすけ / Keisuke Tanabe

2007年入社。流通業界や株式投資雑誌の編集部、モバイル、ネット、メディア、観光・ホテル、食品担当を経て、現在は物流や音楽業界を取材。

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