米名門校が「子どもにランク付はしない」納得理由 天才が出続ける学校が考える自信の持たせ方

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――海外から学びに来る子もいるのですか。

コロナ禍前は特に中国からの留学生が多く、彼らはビジネスと起業プログラムに夢中でしたね。両親が来られなくても、ホームステイをしながら通っていました。夏の5週間の留学生向けのプログラムに参加して、起業家プログラムに興味を持つ子もいます。北京から来た男子学生のジョニーは本当に優秀なコンピューターの専門家でマサチューセッツ工科大学(MIT)に合格したのですが、それを蹴ってグーグルに就職しました。

――大学には行かなかったんですね。

彼は大学のカリキュラムをみて8万2000ドルもの学費をすでに知っていることに払うのだったら、23万ドル(約3100万円)をもらってグーグルで働いた方がいいと判断したようです。ちなみに彼は、いまは自分でサイバーセキュリティの会社をやっていますよ。先ほど話したベンチャーファンドの出資先第一号は彼の会社になりそうです。

面白い話がありましてね。先日、子どもをハーカーに通わせているシリコンバレーでは有名なベンチャーキャピタリストから電話がかかってきて「ジョニーを知っているんだろう?彼に電話をして、丁寧に出資をさせてほしいと伝えてくれないか」と言われたんです。ジョニーは超一流投資家からの出資はすべて断っているんですよ。でも、彼はハーカーの出資は認めてくれたのです。

「ブランド大学」に入れるのが目的ではない

――ハーカーのゴールはスタンフォード大のような「いい大学に入れる」ということではない?

そう捉えている人もいるようですが、私たちの「ミッション・ステートメント」を読むと、私たちのミッションは、生徒が大学やその先に進むための準備をすることだと書いてあります。"エルメス大学"や"グッチ大学"、すなわちブランド大学への入学を保証することが私たちの使命ではありません。

私たちの使命は、彼らが最高の大学に進学したときに成功できるように、しっかりと準備をすることです。子どもが成功するためには、自分が情熱を傾けられることを追求する以外に方法はないと信じています。土曜日の午後、ロボット工学の研究室に子どもがこもっているのは、有名校に入るためではなく、情熱を持って打ち込むことがあるからにほかなりません。

世界的に有名な服飾デザイナーであるアレキサンダー・ワン(ハーカーの卒業生)は、ニューヨークのパーソン・スクール・オブ・デザインに進学しました。有名音大のジュリアードもいわゆる「有名大学」のリストには入っていませんが、音楽に情熱を傾けてそうした大学へ進学する生徒もいます。

――ハーカーは大学、その先のキャリアで「成功」するための教育をしているとのことですが、成功するために、子どもに求められるスキルや質などはどのように変わっていますか。

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