米名門校が「子どもにランク付はしない」納得理由 天才が出続ける学校が考える自信の持たせ方

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小学生になってからは、英語と算数のクラスでグループ分けをし、6年生になった時点で理科、そして9年生(日本の中学校3年生に相当)の時点ですべてのクラスで3グループに分けるようにします。

もう1つハーカーのユニークな点は、シリコンバレーにあるという立地をいかして、ビジネスと起業の学部があることでしょう。これは英語や数学と同じような、しっかりとしたアカデミックの学部です。多くの学校はビジネスや起業は課外クラブという位置づけですが、ハーカーではしっかり「授業」として教えています。

学生の人種構成は、シリコンバレーの構成を反映しており、アジア系やインド系の学生の割合がそれぞれ3割近くに上るという(写真:ハーカー・スクール提供)

高校生で起業して2億ドルで売却した生徒も

――誰が教えているのですか?

卒業生です。実際私が過去にハーカーで教えた生徒が今教鞭をとっているのですが、彼は今やアメリカで最も著名なビジネス、経済学の教え手です。ハーカーはビジネスや経済学の教育では抜きん出ていて、例えばアメリカでは数年前に6万7000人の学生が経済学の上級レベル者向けの共通テストを受けた際、33人が満点をとっています。このうち11人はハーカーの子でした。

今年でハーカーに勤めて40年になるというローゼンタール氏(撮影:尾形 文繁)

経済学に力を入れていた子の1人は、高校生向けの経済学コンペで優勝しています。彼は実際に高校2年生のときに起業して、その年に約2億ドル(約270億円)で売却しています。ハーカーには生徒の家族の寄付などから成り立つインキュベーションのシステムもあって、起業を志す生徒の資金援助もしています。

ここで起業を覚えたり、会社を始めることも少なくない。実際、料理宅配サービスの「ドアダッシュ」の創業者もその1人で、最近ハーカーに1000万ドル(約13億円)を寄付してくれました。このほかにも、シリコンバレーでは有名なグリーン・オーク・ベンチャーキャピタルも数か月前に1000万ドルを寄付してくれています。

寄付金は基本的に投資に回し、その利息のほとんどを経済的に余裕がない生徒の奨学金にあてていますが、一部は生徒が起業するための資金に回します。生徒たちがシリコンバレーにあるベンチャーキャピタルの手を借りながら、卒業生が立ち上げた会社に出資するということも始めました。昨夜もちょうど午前2時に日本からリモートで理事会に出席していて出資を決めたところでした。

――生徒の数を増やそうという発想は。

学校を大きくしようという発想はありません。現在の人数が、私たちが提供しているプログラムに最適な人数だと思っています。ですので、選考プロセスにも力を入れていて、テストの点よりは、理科やアート、議論などハーカーにあるプログラムに情熱を持てる子が入れるようにしたいと思っていますし、生徒の関心に多様性があることも重視しています。運動が得意な子、舞台芸術が得意な子、ジャーナリズムやロボティックス、コンピューター科学などあらゆる分野に興味が集まるのが望ましいのです。

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