痛風から感染症まで「恐竜」の最強とは程遠い実態 骨から「病気」や「雌をめぐる闘いの痕跡」を発見

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さて大きなトゲが特徴的なステゴサウルスは、いかにも強そうな恐竜。実際に肉食恐竜から襲われかけると、尾の先にある自慢のトゲでやっつけていました。しかし意外なことに、顎の力はとても弱かったようです。その噛む力は、なんと私たちヒトの3分の1だとか!?

ステゴサウルスの顎の強さはヒトの3分の1!?

ステゴサウルスは、「剣竜類」というグループの代表ともいえる植物食恐竜です。ジュラ紀の後期のアメリカで繁栄し、アロサウルスなどの肉食恐竜に襲われたときも、尾の先のトゲで反撃するなどの〝強さ〟がありました。

ステゴサウルス
出典:『ほんとうは“よわい恐竜”じてん それでも、けんめいに生きた古生物』/イラスト:ⓒACTOW(徳川 広和・山本 彩乃)

そんなステゴサウルスですが、実は顎の力がとても弱かったみたいです。

顎の大きさ自体は、30センチメートル以上の長さがあります。そこには、細い歯がたくさん並んでいます。

しかし、その顎の噛む力は、前歯で140ニュートン、中ほどの歯で184ニュートン、奥歯でも275ニュートンしかなかったみたいです。

「ニュートン」とは、力の強さの単位です。参考までに、ほかの動物の噛む力を挙げると、現在のヒトで749ニュートン、盲導犬で有名なラブラドール・レトリバーで550ニュートンです。

つまり、30センチメートル以上もの大きな顎をもちながら、噛む力は、ヒトの3分の1ほど、ラブラドール・レトリバーの半分ほどしかありませんでした。

どうやら、やわらかいシダ植物の葉を枝からとるぐらいしかできなかったみたい。そして、その葉は、噛まずに飲みこんでいたのでしょう。口の中でその葉を潰すことは難しかったとみられています。

現在の日本で見かける「草」は、けっこう硬いので、もしも現代にステゴサウルスが蘇ったとしたら、食事に苦労するかもしれませんね。

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