痛風から感染症まで「恐竜」の最強とは程遠い実態 骨から「病気」や「雌をめぐる闘いの痕跡」を発見

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また、ティラノサウルスやその近縁の仲間たちには、トリコモナスという感染症にかかったものもいたようです。トリコモナス症と言われるこの病気にかかると、皮膚がただれ、骨に穴が開くこともあります。食欲不振からはじまり、息をするのも苦しくなることもあるようです。現生の動物では、おもに鳥類にみられる病気です。

この感染症は、トリコモナス症の動物肉を食べると感染します。肉食の王者であるティラノサウルスにとって、宿命ともいえる病気だったのかもしれません。

ティラノサウルスと同じく体の大きなディプロドクス類は、ニョロリと長い首が特徴。その大きさゆえ、敵は少なかったとみられていますが、呼吸器系の病気でゴホゴホ苦しんでいたみたいなんです。

呼吸器を病んでいた長〜い首のディプロドクス

ディプロドクス類の恐竜は、竜脚類の中でも、かなり細長い首と、とても長い尾をもっていました。全長は20メートルを超えるものも少なくなく、30メートルに迫る大型種もいたとみられています。

ディプロドクス
出典:『ほんとうは“よわい恐竜”じてん それでも、けんめいに生きた古生物』/イラスト:ⓒACTOW(徳川 広和・山本 彩乃)

これほどの大きな恐竜は、肉食恐竜にとっても、そう簡単に襲うことができる相手ではありません。大きく成長したディプロドクス類は、肉食恐竜に襲われる心配も少なく、気ままに生きていたのかもしれません。

……健康だったとしたら。

実は、ディプロドクス類には、呼吸器系を病んでいた個体がいたことがわかっています。

「呼吸器系」とは、酸素を体内にとりこみ、そして、二酸化炭素を体外に出すしくみです。恐竜類には、鳥類と同じ「気嚢」と呼ばれる呼吸器系があったようです。

その気嚢が、「気嚢炎」と呼ばれる病気にかかったディプロドクス類がいたみたい。……とは言っても、わたしたちヒトは、気嚢をもっていないので「気嚢炎」は聞き慣れない病気かもしれませんね。ヒトのかかる病気では、「肺炎」が気嚢炎に近いとされています。症状は、高い熱が出たり、食欲がなくなったり、咳が止まらなくなったり、息をすることが苦しくなったりします。毎日の生活にも影響が出ます。

ヒトの肺炎は、入院が必要になる場合もある病気です。もちろん、恐竜時代には病院はありません。長い首で咳に苦しめられた一生をおくったのかもしれませんね。

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