痛風から感染症まで「恐竜」の最強とは程遠い実態 骨から「病気」や「雌をめぐる闘いの痕跡」を発見

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「石頭恐竜」として知られるパキケファロサウルスも、その硬い頭を使って、ときには恋のライバルと火花を散らしていたようです。

ケガを負うまで身内で頭突きし合ったパキケファロサウルス

パキケファロサウルスは、頭頂部が大きく膨らんだ恐竜です。この大きな膨らみの中には、分厚い骨がありました。この分厚い骨の頭を使って、頭突きをしていたと考えられています。そのようすから、「石頭恐竜」と呼ばれることもあります。

パキケファロサウルス
出典:『ほんとうは“よわい恐竜”じてん それでも、けんめいに生きた古生物』/イラスト:ⓒACTOW(徳川 広和・山本 彩乃)

もっとも、分厚い骨の〝石頭〟とはいえ、頭突きばかりをしていたら、怪我をしてしまったようです。

パキケファロサウルスや、その仲間の頭骨の化石には、頭頂部に傷がついていたり、その傷が原因で病気(感染症)にかかっていたりした痕が残っているのです。なかなかどうして、頭突きをするのも楽ではなかったみたいですね。

ほんとうは“よわい恐竜”じてん それでも、けんめいに生きた古生物
『ほんとうは“よわい恐竜”じてん それでも、けんめいに生きた古生物』(KADOKAWA)。書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします

しかし、どうして、そこまでして頭突きをしていたのでしょう?

骨に傷がつき、しかも、感染症になる危険があるなら、頭突きなんてしなければいいのに……。

パキケファロサウルスやその仲間は植物食ですから、「頭突きをしないと生きていけない」ということはないはずです。

実は、ある研究によると、頭頂部に傷のあるパキケファロサウルスの仲間は、おとなの雄ばかりだそうです。

そのため、パキケファロサウルスやその近縁の仲間たちは、〝身内〟で頭突きをしていたのではないか、との指摘もあります。植物食であっても、交尾のための雌をめぐる闘いや、縄張り争いがあり、そのために頭突きをしていたのではないか、というわけです。

いかがでしたでしょうか? 恐竜や古生物たちの「リアルな日常」に触れると、彼らがもっと身近な存在になりませんか? 

土屋 健 オフィスジオパレオント代表、サイエンスライター

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つちや けん / Ken Tsuchiya

埼玉県出身。金沢大学大学院自然科学研究科で修士号を取得(専門は地質学・古生物学)。その後、科学雑誌『Newton』の編集記者、部長代理を経て独立し、現職。著書は多数あり、2019年に刊行した『リアルサイズ古生物図鑑』は高額書にもかかわらず話題となる。2019年、日本古生物学会貢献賞を受賞。近著に『カラー図説 生命の大進化40億年史 古生代編 生命はいかに誕生し、多様化したのか(ブルーバックス)』(講談社)、『ほんとうは“よわい恐竜”じてん それでも、けんめいに生きた古生物』(KADOKAWA)、『怪獣古生物大襲撃〜怪獣として蘇った古生物たちの世界 (Graphic voyage) 』(技術評論社)などがある。

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