「熟練の専門家」より「素人の直感」に従うべき瞬間 業界の常識を変えた「Believe It」の成功3哲学

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たとえば私は2003年に、NPOでの仕事を行うためにコンサルタントを辞めた。NPOに転身したのはマッキンゼー日本支社では初めてだった。

結果的に、同時期に非営利組織を立ち上げた仲間とともに、国内における社会的事業市場を形成することに成功した。2011年には、ほかの仕事をすべてやめ、東日本大震災の復興事業に専念することとした。

その後、福島や全国の復興事業において中心的な役割をもたせていただいている。いずれの意思決定も、私は直感に従って行った。

データは、過去の傾向を示してくれるが、未来を見せてはくれない。ありきたりな成功なら論理に従って達成できるだろう。しかし、ジェイミーが成し遂げたように、革新的な変化を生み出すときには、自分の直感を信じることが必要になる。

リスクテイクとつながり

ジェイミーは直感に従ったうえで、リスクを取ることの大切さを繰り返し伝えている。

『私は、アリーナ(闘技場)に踏み入れて果敢に挑戦するのは私の番だということを、心の奥でひしひしと感じていた。人気者になるよりも、自分の信じるもののために、勇気を出して立ち向かうほうがずっといい』

『誰かと本物のつながりを持つためには、ウソ偽りない、ノーガードの自分でいるというリスクを背負う必要がある。周りに助けを求めるリスクを背負う必要がある。たとえ、その中の誰かに裏切られることがあったとしても』

これらは、高いリターンを得るために確率の低いチャレンジをするという意味ではない。むしろ、本物の強いつながりを得るためだという。

ジェイミーは実際、美容業界の重鎮が勢ぞろいしたコンベンションにて、スーパーモデルや有名人を起用する従来のマーケティング手法を批判し、消費者の共感を得やすいリアルな手法の必要性を説いた。

業界の人たちからは強い反発を受けたが、全米の女性顧客から支持を得て、ブランドの地位を高めるとともに、影響力あるリーダーの1人と目されるようになった。

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