佐藤:例えば、TY食品さんは、ボクの提案を採用してくれて、新製品を来期には発売します。だから、来期には我が社の売り上げが立つんです。それでも課長ときたら「今期は売り上げが立っていないから評価の対象にならない」のひとことですよ。人事部は、仕事のプロセスを大事にするとか、挑戦を評価するとか言いますが、実際に課長がボクたちを評価するときは「数字」しか見ていません。今期ボクががんばってTY食品さんの成果を出したのに、評価してもらえないんだったら、挑戦するのがバカらしくなりますよ。
中嶋:君の言い分にも一理あるねぇ。
これが現場の不満を生み出す要因
仕事のプロセスを見てくれない――これは現場のスタッフがやる気をなくす大きな要因となります。しかし、目標管理を業績評価に用いる場合、「目標の達成度を業績とする」と考えます。また、多くの目標管理では「目標は計数化せよ」とも言われます。その結果、業績評価が「目標数値の達成度」となることがしばしば起こり、プロセスの評価は後回しになってしまいます。
「目標の達成度を業績とする」という考え方には長所があります。それは、評価者の主観が入りにくいということ。計数的に表現されるものについては、誰が測定しても同じ結果が得られるからです。つまり、評価の客観性は高くなります。
しかし、大きな短所もあります。なぜなら、私たちの仕事成果のすべてを数値で把握する事ができないがゆえに、数値だけを見た評価は、成果の一部だけを評価することになる点です。
つまり、目標数値の達成度を業績評価とすると、仕事の一部について客観性の高い評価をするという結果を生み出します。それが成果を数値で表現しにくい仕事を担当する人たちの不満を生み出すのです。
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