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「八重洲の再開発」で果実をもぎ取った意外な2社 都心最後のフロンティアで大型ビルが次々竣工

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町人街として発展してきた経緯から土地の権利が無数に散らばり、再開発の遅れてきた八重洲。だがこの先数年で、街は様変わりしそうだ。

東京駅前という一等地にもかかわらず、八重洲は開発が進んでいなかった(撮影:今井康一)

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既存ビルの買収・転売などで熾烈な競争を繰り広げる不動産ファンド(詳細は6月23日配信記事:エイベックスビル売却、裏にあった幻の「プランB」)。それをよそに、国内デベロッパーが注力するのが「再開発」だ。
複数のビルや住宅をまとめて大きな複合ビルへと開発する事業で、収益化には時間がかかる。だが、駅前などの一等地で競争力の高い高層オフィスビルなどの不動産を開発すれば、デベロッパーはそれらを賃貸・売却して収益を得ることができる。
再開発はデベロッパーの収益柱となっているが、さらなる成長のためにはつねに新たな開発案件を探さなければならない。都市機能が成熟しつつある都心部で、いまだに開発余地の大きい都市が「渋谷」と「八重洲」だ。いずれも各デベロッパーが続々と再開発に参入し、混戦模様となっている。
前編:「非東急」が続々侵食、渋谷の再開発めぐる大混戦

夢と消えた「ツインタワー」計画

東京23区の西側のフロンティアが渋谷なら、東側のフロンティアは「八重洲」だ。東京駅前という一等地にもかかわらず、駅を挟んで反対側の大手町や丸の内と比べて、八重洲は開発が進んでいなかった。

大手町や丸の内は三菱地所など特定の企業が土地を所有し、再開発を計画的に推進できた。一方八重洲は町人街として発展してきた経緯から土地の権利が無数に散らばり、再開発の合意形成が難航していた。

それを象徴するエピソードが、幻の「ツインタワー」開発計画だ。1998年、東京都中央区は八重洲などの再開発を議論する委員会を設置。そこで出てきたのが、2棟の超高層ビル開発案だ。

当時の資料によれば、北棟と南棟の延べ床面積は計90万平方メートル。2021年6月に東京駅北側で竣工した、三菱地所の38階建てビル「常盤橋タワー」(高さ212メートル)6棟分に当たる広さだ。

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