有料会員限定

「非東急」が続々侵食、渋谷の再開発めぐる大混戦 西のフロンティアに群がる国内デベロッパー

✎ 1〜 ✎ 19 ✎ 20 ✎ 21 ✎ 最新
拡大
縮小

かつてはオフィス街として一等地ではなかった渋谷が大変貌。都心に残されたフロンティアをめぐって、激しい争奪戦が繰り広げられている。

道玄坂沿いの新大宗ビルなど、7棟の開発が始動(写真:記者撮影)

特集「不動産争奪戦」の他の記事を読む

既存ビルへの買収・転売などで熾烈な競争を繰り広げる不動産ファンド(詳細は6月23日配信記事:エイベックスビル売却、裏にあった幻の「プランB」)。それをよそに、国内デベロッパーが注力するのが「再開発」だ。
複数のビルや住宅をまとめて大きな複合ビルへと開発する事業で、収益化には時間がかかる。だが、駅前などの一等地で競争力の高い高層オフィスビルなどの不動産を開発すれば、デベロッパーはそれらを賃貸・売却して収益を得ることができる。
再開発はデベロッパーの収益柱となっているが、さらなる成長のためにはつねに新たな開発案件を探さなければならない。都市機能が成熟しつつある都心部で、いまだに開発余地の大きい都市が「渋谷」と「八重洲」だ。いずれも各デベロッパーが続々と再開発に参入し、混戦模様となっている。

模型の世界では「なかったこと」に

東急グループが2012年に開発した、渋谷駅直結の複合ビル「渋谷ヒカリエ」。11階のオフィスロビーの片隅に、駅周辺の街並みを再現した模型がある。小さなビルや路地裏まで再現した精巧な作りだが、目を凝らすと実際の街並みとは異なる部分に気づく。

例えば、2019年にヒューリックなどが建て替えたはずの「渋谷パルコ」は、建て替え前の姿のまま。2020年に三井不動産が渋谷区の公園を再開発した商業施設「ミヤシタパーク」もなく、模型の中では開発前の公園が広がる。

一方で、2019年に東急グループが開発した超高層ビル「渋谷スクランブルスクエア」は、模型の中心で燦然(さんぜん)と輝く。「非東急」が手がけた再開発は、模型の世界ではなかったことにされているのだ。

次ページ「”丸の内”に取られた」
関連記事
トピックボードAD
連載一覧
連載一覧はこちら
トレンドライブラリーAD
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
特集インデックス
不動産争奪戦
海外ファンドが日本の不動産に「強気」になる理由
JTB、エイベックスの本社ビルを相次いで取得
ミネベアミツミ「異次元価格」で大型ビル取得の訳
一般企業が不動産会社に競り勝つケースも
海外ファンドが明かす「日本のホテル」の再生余地
近鉄グループ保有の8つのホテルを譲り受け
海外ファンドが見出す「日本の不動産」特別な魅力
「低成長、低インフレはまったく気にならない」
池袋店と渋谷店が握る「そごう・西武のお値段」
建て替えの青写真と従業員の処遇がカギ
投資家が物流の次に病院不動産を狙う納得理由
老朽化で建て替え需要、医療法人の意識変化も
超高層ビル「大手町プレイス」異例ずくめ売却劇
投資家への「身体検査」に透けて見えるジレンマ
KKR、Jリート運用会社を「2300億円」で買収の衝撃
単なる「日本の不動産買い」とは異なる意図
「かぼちゃの馬車」再生狙う米投資ファンドの勝算
1200物件取得、シェアハウスの意外な投資価値
相続税対策の常識崩す、最高裁「路線価」ノー判決
どこからが節税の「やりすぎ」にあたるのか
10億円超も続々登場、「ニセコ別荘バブル」の狂騒
観光客は激減も開発目白押し、町は抑制に苦慮
「半分空室」のミッドタウン八重洲、三井不に試練
ビル同士での「テナント引き抜き合戦」が過熱
KKR責任者に直撃、Jリート会社「巨額買収」の本心
目指すは「国内、アジア最大規模の運用会社」
住友不動産が「オフィス空室」に一喜一憂しない訳
「売却しない」独自の成長哲学を副社長に聞く
ハイリスク&ハイリターンから安定志向まで
日本の不動産で「一獲千金」外資ファンドの万策
海外の年金基金や大学基金も日本に熱視線送る
インバウンドの回復をにらみ「買収合戦」が加速
事業会社が長年抱える「一等地」に狙いを定める
西のフロンティアに群がる国内デベロッパー
用地不足などの環境を逆手に取る手法が拡大か
都心最後のフロンティアで大型ビルが次々竣工
機関投資家や入居企業の環境意識が後押しに
香港ファンドが「日本の不動産」を買いあさる思惑
「2年をかけて35億~40億ドルを投資したい」
市場の裾野は広がるが、開発手腕も問われる
コロナ禍の影響が本格化してからどう動いた?
借金の重さ示す「負債資本倍率」で明暗くっきり
稼ぐ力を「会社四季報」の最新データで算出
国内最高4000億円「大手町プレイス」争奪戦の内幕
存在感を高めていた外資はなぜ鳴りを潜めたか
「オフィス空室率6%台」は気にする水準ではない
グローバルにみると空室率は「10%」が普通
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT
有料法人プランのご案内